「調査会社のIDCジャパン(東京・千代田)は18日、2012年10~12月の国内パソコン出荷台数が前年同期比5.4%減の369万台にとどまったと発表した。米マイクロソフトが10月にパソコン向け基本ソフト(OS)の新版である「Windows(ウィンドウズ)8」を発売したものの、パソコン販売をけん引する効果は見られなかったとする。IDCジャパンによると、四半期ベースで新OSの発売時に国内パソコン出荷台数が前年同期比を下回るのは初めて。
家庭向けが不振となっている背景として、(1)11年後半から12年春にかけて高価格帯のパソコンが値下がりし売れ行きを伸ばしていた、(2)パソコンメーカー各社がウィンドウズ8の発売に合わせてパソコンの単価引き上げを図ったため消費者から嫌気された、(3)日本マイクロソフトの新OSのキャンペーンが、発売前でなく発売後に重点的に組まれており、発売直後に売り上げのピークを作れなかった、(4)ウィンドウズ8の発売と前後して「Nexus7」や「iPad mini」など低価格のタブレット端末が相次ぎ発売された――などが考えられると片山マネジャー(IDC)は指摘する。
12年通期のパソコン国内出荷台数は前年比0.6%減の1558万台。内訳は、家庭向けが同6.5%減の754万台、法人向けが同5.5%増の804万台だった。メーカー別シェアは、NECレノボが事業統合効果で25.5%と躍進し1位を獲得。以下、富士通(17.5%)、東芝(12.8%)の順となった。4位は前年5位だった日本ヒューレット・パッカード(9.4%)で、前年4位だったデル(8.3%)をかわして順位を1つ上げた。」nikkei 2月18日
Windows8の登場が話題になり始めた昨年はじめ頃からずっとその動向をフォローしてきた私などは、Windows8の導入に一般の個人ユーザーがどのように反応するかの予測はできた。Windows8という画期的なOSの登場にも関わらず個人向けパソコン販売がなぜ伸び悩み、結果的に昨年10月ー12月の売上が前年比6.5%の減に終わったというその理由、背景は分かっている。実は私はもっと減ると予測していた。それが6.5%減、「ああそんなもので済んだか」という感じである。
この日経新聞、8導入後の昨年10月ー12月の減について書いているが、これから半年、一年、場合によってはさらなる減すら予測できる。
その背景としてパソコンというものに代わってタブレット端末というものが登場してきたことが大きいことが主な理由であることは確かだが、それよりもOS発売元のマイクロソフト社、及び国内Windowsメーカーの販売戦略、製品戦略、とりわけ価格戦略が根本的に間違っていると考える。NEC、富士通、東芝、ソニーなど国内メーカーが本当にWindows8の性能内容に沿った製品を提供しているかということ、それがどうもいまいちという感じがあるのにも関わらず、その価格、価格設定があまりにも高い、高すぎるという感想を持っているは私だけではあるまい。いや、私を含め一般ユーザがそう感じたからそうなっているのだ。それがまだMS幹部、日本のパソコンメーカの幹部には分かっていないらしいのだ。
上記記事について:
(1)11年後半から12年春にかけて高価格帯のパソコンが値下がりし売れ行きを伸ばしていた
コメント:
12年春夏モデルとして、ハイスペックのいわゆるウルトラブックなるものが数多く出ていたのだが、そうした製品、夏から秋にかけて、その価格が半値以下に下落した。それでパソコンの売上は伸びた。そうしたWindows7のユーザーはそのパソコンは問題なく、8に優待価格3、300円でバージョンアップできることは分かっていたのだ。
2)パソコンメーカー各社がウィンドウズ8の発売に合わせてパソコンの単価引き上げを図ったため消費者から嫌気された。
2、3年もパソコンを使っていると、パソコンの世界にも、秋冬もの、春夏ものという言葉に遭遇するようになる。なんだパソコンって衣料のファションと同じで、要するに初物はいやに価格が高く、半年も待っていると価格が半値近くにもなる場合があることを知るようになるのだ。パソコンユーザのみなさん、Windows8登場とともに発売開始されたパソコンがその中身の比較はともかく、同じ類であることをよくご存知なのだ。そのパソコンユーザー、消費者の知識、意識の変化に気づいていないのはメーカの方なのだ。
3)日本マイクロソフトの新OSのキャンペーンが、発売前でなく発売後に重点的に組まれており、発売直後に売り上げのピークを作れなかった。
いや、Windows8のお試し版はすでに6か月も前から公表されていたから、事前のキャンペーン自体は必ずしも不十分であったわけでない。むしろ問題は8発売後の優待価格期間が1月末までという短期間で終わったことだ。さらに終了後の価格がその優待価格の4倍だ8倍だという価格にしたことだ。いくらなんでもこれでは消費者の反発は必至であろう。
これでは、これ以降の8への移行を検討するユーザー、8のパソコンの購入を検討する人が二の足を踏むことになるのは当然であろう。そこまでするならヤーメタとなるのも当たり前だ。
4)ウィンドウズ8の発売と前後して「Nexus7」や「iPad mini」など低価格のタブレット端末が相次ぎ発売された。
パソコンということに関しては、Windows7だ、8だという以前に、やはりこのタブレット端末の登場ということが大きいのではないか。さてこれからパソコンというものを初めてみようかという人が、タブレット端末の方がパソコンよりはるかに使いやすいとか、価格も安いなどと聞からされるとそちらに心が動くことは当然のことだ。その真偽というか、本当のところは別としてである。
今出ているWindows8のパソコン、どんなに安いものでも一般的には10万円前後するのが普通。タブレットとなると安いもので2、3万円で購入できるとなるとそちらに心が動くのは至極当たり前なのだ。
日本のパソコンメーカーの不振:(上記記事)
「メーカー別シェアは、NECレノボが事業統合効果で25.5%と躍進し1位を獲得。以下、富士通(17.5%)、東芝(12.8%)の順となった。4位は前年5位だった日本ヒューレット・パッカード(9.4%)で、前年4位だったデル(8.3%)をかわして順位を1つ上げた。」
コメント:
Windows8のパソコンに限らず、パソコン、タブレット端末を購入する場合、今やコストパーフォマンスという観点からみるなら、国産のものより中国のレノボに限らず、台湾のASUS、Acer、米国DELL、HP(ヒュレットパッカード)などのものを比較検討してみることだ。その詳しい比較、内容を言い出すときりがないから、割愛するが、同じスペック(性能)であるはずなのに、国産のものは、価格はもの明らかに割高になっているのだ。
それが洋服だ、衣料品だとなるといわゆるファッション性、デザイン、ブランドなどの
ことがあって、価格差が出てくるのはわかる。合理的な性能差というより、それはまさに感性のことになる。
しかしそれがパソコンとなるとその比較を感性でするのかということだ。究極の比較はやはり、スペックすなわち、使用しているCPU性能、メモリーの大小、ハードデイスクの容量などとなってくるはず。どういうわけか日本のパソコンメーカはまだその名前、ブランド力で売ろうとする姿勢がある。長年それで成功してきたからであるからだ。同じスペックのものなのに、がどうしてそんな価格差になるのかよくわからないところがある。
それにパソコンといえば、日本の各メーカー、先日も話をしたマイクロソフトのオフィスが入っているのを相変わらず当たり前のように考えているのだ。外国品はそうでない。それを入れないかオプションで選べるのが殆どだ。それが入っていないものを買うとそれだけで3万円安く買える。
販売店の方も、さすが無料のオフィスソフトがあることなどは説明しないにしても、MSのオフイスと同等で、5000円前後で買えるKingオフイスを外国製パソコンとセットで購入することを勧めたりするようになってきたのだ。
価格は安いのはいいが、アフターサービスはどうかという点に関してだが、そうした外国メーカも日本法人を設立していて、殆ど問題がない。それにもう一つはこれもすでにBLOGで書いたが、オンラインネット販売が発達してきて、価格という点になってくると店頭販売のものとの差が歴然としてくる。レノボなんて中国産のメーカーの伸び率が高い主な理由は、価格がやはり抜群に安いからである。
まとめ:
こんな風に書いてくると私自身そもそもWindows8の存在自体を否定しているように聞こえるかもしれない。これを読んで、なーんだそうか、ならWindows8のパソコン購入検討など止めだとする方がいらっしゃるかもしれない。しかしそれは私の本意ではない。さらにただ国産品を否定して外国製品を賛美しているわけでもない。
要するにパソコンなるものの購入に関しては、秋冬、春夏ものなどというがファッションとかブランドでなく、あくまでそのハード・ソフトのコストパーフォマンスを中心に考えるべきだということを言いたいだけのことだ。
パソコンはTVなどと違って、いかにも一台一台その仕様が違い、製品の中身も違うように思われるかもしれないが、実はその逆、パソコンほどその意味では標準化された製品はないのである。
それが証拠に、TVを自作する人などめったにいないが、パソコンを自作して使っている人はいくらでもいる。街のパソコンショップで、自作用の部品、マザーボード、ハードデイスク、そのた周辺部品を購入し、自分で組み立てる使っている人は沢山いる。私もデスクトップパソコンに関しては長年そうしてきている。
要するにそうした部品類はすべて標準化していてしかもそのメーカも大体限定されているものなのだ。パソコンのケースもその大小はあっても最初からどこにどの部品を配置するか決っていて、その組立自体間違えようのないようにできているのである。
パソコンの購入に当ってはなにしろコストパーフォマンスを第一に考えようとはそういう意味だ。NECだ、富士通だ、東芝だなどというブランド名などどうでもいいのである。しかも彼らはその独自性を出すため、ユーザからみるとどうも不要なソフト、機能を付ける傾向がある。さらにノートパソコンをその格好よさ、姿形で選びたい人はその限りにあらずなのだが。
最近のパソコンユーザーもそういう意味では段々賢くなって、以前のように新しいOSのパソコンだからと言って初物に飛びつかなくなった。そして安価なタブレット端末の登場ということを含めてこれからもより慎重にコストパーフォマンスを考えた上で、Windows8パソコンを購入についても考慮するであろうということだ。
結論的にいうとソフトとしてのWindows8の価格は明らかに高い。というのも今急速に増大しつつあるAndroidタブレット端末が安価なのは、そのOS自体無料だからだ。これからはそうした無料OSのパソコンの登場もさらに多くなろう。
そして再度いうがハードとしてのWindows8系パソコン、国産のものの価格はいずれも高いと言わざるをえない。まあ平均的なスペックのもので10万円前後というところか。機能面でも先の外国産のものより明らかに劣っている場合でもだ。外国品は総じて国産のブランドものものよりかなり割安である。
そうした状況の中にあって自分はどうしたかについて最後に書いておく。私自身はOSとしてのWindows8を否定しているのではない。むしろ評価している方だ。その内容についてはこのBLOGでそのメリット・デメリットいろいろ書いてきた。そして総合的なメリットはかなり大きいとしてきた。実際には昨年10月26日、発売と同時に優待価格3、300円で購入、Windows7のデスクトップパソコンにインストして以来今日まで満足して使っている。
外出時などに使うノートパソコンに関してはXpのものを使ってきたが、その必要上8が出たら、タブレット端末としても使えるタイプのものを購入しようと計画していた。とりあえず予算的には10万円前後のものを考えていたわけだ。ところがそうしたパソコン、タブレット兼用機、いわゆるコンパチ機となると国産、外国産のものを含めて納得のいくものがまだまだ今のところ存在していないのである。
そこでPC、タブレット兼用、コンパチタイプというよりは、パソコンはパソコン、タブレットはタブレット端末で考えようということにしたわけだ。
結果、パソコンとしてはこの2月初め15インチのWindows8ノートを購入。これはCPU、メモリ数など市販品の中でもトップクラスのものだ。メーカはフロンティアという山口県にあるOEMパソコンメーカである。その価格は5年間保証延長でなんと6万円ちょっと出たくらいだった。同じスペックのものを一般国産品から選ぶとどう低くみても10万円はする。但しこれにはもちろんオフィスソフトなど入っていない。そんなものは一切不用である。
ノートパソコンの購入、予算的にはそれで済んだ。その残りの4万円をどうするかである。私はその4万円はタブレット端末購入に当てる予定である。それがWindows8であれば理想的だが、場合によってはAndroidでもいい。タッチパネルということのパソコンのメリットを活かすには、今登場している中途半端なコンパチ機を購入するより、タブレットはタブレット専用機であった方がいいと判断したからだ。
多分今の10インチより大きイサイズのタブレットがこれから夏以降登場するはずだ。10インチで、しかもアンドロイドでいいなら、この3月にはNTTドコモから9800円のハイスペックタブレットが発売される。その他タブレットは今や選りどりみどりなのである。
tad
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