2013年6月19日水曜日

値下げマイクロソフトSuraface RTの行く末:PC482

「 日本マイクロソフトは6月13日、急遽発表会を開催。翌日から一カ月間に限り、Surface RTの価格を1万円据え置きするキャンペーンを行うと発表した。通常であれば歓迎すべき話だが、そこには利用可能なアプリケーションがWindowsストアアプリに限定されるWindows RTの苦境も見え隠れする。残念ながら現時点でWindowsストアアプリに「キラーアプリケーション」と呼べるものは存在せず、Windows RTおよびWindows 8の普及を推し進める起爆剤にはほど遠い。今週は日本マイクロソフトが選択したプライスダウンの理由を愚考する。」mynavi 6月17日

アップルがiPad値上げを発表する中で、マイクロソフトの方は、その対抗品として市場に登場させたSurfaceRTの値下げを断行したわけだ。この冒頭記事の筆者、それは日本マイクロソフト社の窮状を示していることを解説する一方で、消費者にとっては値下げは歓迎すべきことみたいな
ことをおっしゃっているが、果たしてそうだろうか。問題は要するに5万円したこのSurafaceRTが4万円になったから、今こそ買いだとなるかどうかである。それはやめておいた方がいいだろう。

そもそも話はWindowsRTってなんなのかという原点に戻る。WindowsRTなどというOSはないのだ。それをOSとして単独で購入することはない。昨年秋Windows8導入にともなってマイクロソフトはこのSurfaceRTなるものを売り出した。Office2013は入っているが、その他従来市場に豊富に存在するWindows用アプリは一切使えないのである。そのことはこの冒頭記事の筆者は何の指摘もしていないが、なによりもかによりも、ブラウザーのことが最重要、このRT、IE(インターネットエキスプロラー)以外使えないのだ。今WindowsユーザーがIEよりもより多く使い始めているGoogleChromeが使えないのだ。

Windowsアプリがとりあえず使えないことはとりあえずいいとしておこう。数多くの従来存在するWindows用アプリはそのうちWidnowsストアにも登場するだろう。それを待てばいい。が、今やWindowsパソコンを使うものにとってある意味常識は拡張性の高いChromeや、Firefoxなどブラウザーが、IEと併用できることなのだ。

それはもちろん併用してもいいし、どちらかというと今やGoogle関係の各種アプリ、Googleドライブ、Gmail、Googleマップ、YouTubeなどの利用は、IEよりChromeでやった方がいいに決まっている。

SurfaceRTでは、そのChromeが使えないこと、それがおそらく致命的欠点であることをこの記事の筆者も明確に伝えていない。ブラウザーはアプリというより、ユーティリティ、いわば家庭での電気、ガス、水道ともともいうべきもの。その重要ユーティリティの一つChromeが使えないのだ。

その点6月になって売りだされたSurfaceProの方はWindows8が入っていて、それは市場に存在する豊富なWindows用アプリを使える上に、Chromeももちろん問題なく使える。私は昨年3月以来Windows8のお試し版をダウンロード・インストして使ってきたが、当時からIE、Chromeを使いわけることにはなんの問題もなかった。昨年10月それが正式にWindows8になってからも同じだ。リモートストレージサービス、Googleドライブ、マイクロソフトのSkydriveを使い分けることについても何の問題もなかった。

ところがSurfaceRTではOffice2013はプレインストールされているが、その他従来のフリーオフィスソフト、Libreオフィスなど一切使えないようになっている。これではもともとMSオフィスなど使っていない者にとって全くなんの意味もない。マイクロソフトのオフィスを
使うかどうかはそれぞれの選択があるとして、多くのWindowsユーザにとって、従来普通に使ってきた数多くのアプリが使えないとは一体なんなのだろうか。

だからこそSurfaceProが価格がRTに比べてはるかに高い、日本円ですると5万円近い価格差があるのに、これまでのところではそちらの販売数量の方が多いという結果が出ているそうだ。
もちろんProとRTでは、使用しているCPUほかハードとしてのスペックの差は厳然してあるから、その価格はは当然なのだ。むしろ問題はその使えるソフトの自由性、フレキシビィリティということを考えると、長年Windowsパソコンを使ってきた先進的なユーザーなら、躊躇なく5万円またはそれ以上高くてもSurfaceRTなどというものでなく、SurfaceProの方を選ぶだろうと当初から予測していた。そして現実そうなってきているわけだ。

どういうわけかそのPro日本では発売されなかった。というのも日本では国産のWindows8パソコンが数多くあって価格的、性能的にもSurfaceProと競合したからだろう。日本マイクロソフトとしても、それについて国内メーカへの配慮ということもあったに違いない。

ところがRTの販売予想を超えて低調だった。売れなかった。これではいかんとSurfaceProを6月に入ってから売りだした。そうなってくると、ますますRTなるものが売れなくなる可能性が強いわけだ。幸いというか、アップリがiPadを値上げを発表したばかれだ。これに対抗してこちらはむしろ値下げしますとやったという。いや、実はこれ自体苦し紛れの言い分ではないのか。現実にはこれはこのSurfaceRTなる中途半端製品の在庫一掃処分セールではないのか。

OSの違いの意味だの、ブラウザーの違いの意味だのそんなことはどうでもいいユーザ、ただどうしてもOffice2013が欲しい人はこの値下げでそれを購入するかもしれない。しかしこんな製品今更買って一体なんのメリットがあるだろうか。

それより、これより数万円高くても、そのMSオフィスが入っていて、Windows8が入っているタブレットを買った方がいいのではないか。探せばそういう条件を備えるものはいくつもあるはずだ。

一つだけその例を挙げておく。昨日ネットで発表されたAcer、世界初の8.1型Windows 8タブレット「Iconia W3-810」なるものがある。これにはオフィス2013が入っている。8インチタブレットだが、付属のキーボードをオプションで買えるし、その他市販のUSBキーボードを使ってもいい。それでノート的にも使える。8インチというからモーバイル性も高い。さらにそのOSはWindows8であるから、あらゆる豊富なWindows用ソフトを使える。Chromeももちろん使える。デスクトップ、ノートパソコンなどとの同期、連携は抜群によくなる。このAcer6万円前後で買える。

仮にプラス2万円だしても買うとすればこうしたタブレットを買う方が得策ではないか。このRT4万円で安く買えたところで、その後の拡張性は何もない。私ならさらにこれより5万円6万円高いSurfaceProのどちらを買うかと言われたら躊躇なくWindows8のProを選ぶ。

それはCPUほかハードのスペック自体抜群に違う。なによりもその他拡張性の違いは歴然。もっともSurfaceProと同等、それ以上のコストパーフォマンスのいいコンパチタブレット機は数多く存在する。何を買うかはそれらをじっくり比較検討し見極めてからのことであろう。

tad

関係記事:

1万円値下げのマイクロソフトSuraface RT:mynavi 
 「Surface Pro」が勝ち取った意外な高評価:itmedia
世界初の8.1型Windows 8タブレット「Iconia W3-810」:mynavi 

0 件のコメント: