2013年4月23日火曜日

キッズパソコンクラブ部長選出


私が近くの小学校でパソコン学習の課外活動にボランティアとして参加し始めてからすでに10年になる。これは文部科学省が構想して始めた地域でのコミュニティスクールのようなものらしいが、この学校にもそれはそれとして別に存在するようだ。では一体この地域の住民が指導的立場で参加するこの課外活動というのは一体どういう位置づけなのか、その意味、目的が少々不明なところがある。

課外活動といいながら、一時間ほど子どもを授業外の時間に半強制的に残らせ、15ほどあるスポーツ、文化活動の課外活動に参加させるのである。そのことについて一体それがどういう位置づけになっているのかよくわからないところがあるの事実だ。市の教育委員会もその意味を認め、他の学校にも同じような活動をするよう求めているそうだから、まさに正当的なものであるには違いない。

昨年まではその課外活動に先生方は一切参加せず、その指導については百%地域住民のボランティアにまかせきりであった。ところが昨年度からはそれぞれの活動に先生一人一人が参加し、先生も参加する学校公認のクラブ活動という位置づけにしたようだ。おそらくそれなら親たちの理解と、より幅広い地域住民ボランティアの参加も得られると学校も考えたのだろう。私自身それには何の異論もない。何よりも先生の参加がなにより必要だと常日頃主張してこともある。

さらに地域ボランティアや先生も指導、監督に当たるが、部の運営自体はより子ども達の自主性にまかせるという趣旨にしたようだ。建前には違いないが、それで子どもたちの参加意欲、動機づけになることだとこれについても何の異論もない。だから部活のスタートに当っては、それぞれの部でそれをとりまとめる部長、副部長、書記の三人の委員を選出するということになったそうだ。

昨日から今年度の実質活動が始まったが、冒頭その三役の選出があった。その手順については、これは部の実質的内容を決め、運営を主導していく私など口出すすることでなく、担当の先生がその手順一切を取り仕切きられた。

それが最近の学校教室での手順なのだろう。クラス委員長ほか、それぞれの役割担当を決める手順である。昔我々の時代は先生が級長を指名したものだが、今はそうでない。多くの場合先生がクラス委員に立候補するものを挙手で募集し、その中から選ぶ。その選び方も選挙投票による方法、立候補者同士の話しあい、じゃんけんなどいろいろあるようだ。
クラブ冒頭、先生が委員に立候補を求めたところ、昨年度もそうであったが、今年も私の予想に反して4人もの子どもが手をあげたのだ。大人のさまざまなクラブ役員の決め方と全然違う。大人の世界だと、まず立候補するものはいない。できればそんな面倒なことには巻き込まれたくないという本音もある。だから役員選出自体大変なのだ。

4人も候補があった段階で、担当の先生は40人近いクラブ員に問いかける、パソコンクラブの場合他のクラブと違って3年生から6年生まで万遍なく40人近い子どもがいる。先生は問いかける。「部長、副部長、書記をどうどう選びますか、話し合いにしますか、投票にしますか、じゃんけんにしますか」と。

おもしろいのは立候補した4人の6年生、男子二人、女子二人、男子一人はじゃんけん、女子一人は投票を主張したことだった。投票を主張した女の子、投票にあたってクラブ運営についての考え方を説明しその後選挙で決めようと主張した。聞いていた私はその子の意見を支持したかった。が、それをやると、それだけで貴重な一時間が終わってしまうことも分かっていたから黙っていた。担当の先生も本当はそれが一番の正論(?)であることはわかっておられたのだろうが、早期決着のため(?)じゃんけんをそれとなくすすめ、結果的にそうなった。

おもしろいのじゃんけんに勝ち、部長になったがじゃんけん主張の男の子だった。それを見た先生が、「おい、君、本当に部長をやるのだな、いい加減はダメだぞ、ちゃんとやるのだな」と二回も念押ししたことだ。というのも、その子どうやら、平生やんちゃ坊主で知られれている子どもなのだ。その子は、少々ためらいながらも「はいやります」と宣言し、無事役員人事は決着した。選挙投票決着を主張した女の子は副部長じゃんけんにも敗れたのだが、最後書記決定じゃんけんには勝って大喜びだった。私は彼女に最大限の賛辞を送りたかったのである。

そうした騒ぎでその日のパソコンクラブは実質40分程度になってしまったが、私自身はパソコン学習のことより、そうしたプロセスには大変興味があった。そして何より子どもたちにとってもおおいに意味のある時間であったと思ったのである。

場合によっては私自身はフルに時間を使っても、部長選出選挙を見たかった。そうなった時それぞれ候補の4人が一体なにを言うか是非聞きたかった。仮にせいぜい数行のたわいもない言であったとしてもだ。それを40人の子どもたちがどう反応するかも見たかった。しかし同時にじゃんけんも悪くない。なにしろその結果がどうなろうと誰も傷つけることはないし、ある意味一番公平、フェアなやり方かもしれないからである。

先生に二回にわたってダメ押しされたその部長、私の見る限りの時間中以前より随分殊勝になったように見えた。この男の子実は前年度も5年生で部活に参加していたから私自身はある程度その言動について知っている。

パソコンをどう習うか、どう教えるかもちろ大切なことだ。これからまた一年間それについて子ども達と関わりあう。それについて何がどうあろうと、私自身もちろん担当の先生と相談しながらだが、自身の考えを曲げることは一切ないだろう。ただ、昨日のあの一連のやりとりを見ていて、私は大いに感心するところがあった。

おお、日本の子どもなかなかいいではないか。

tad

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