「4月からの新学習指導要領完全実施で、高校の英語は「英語による授業」が基本となる。今回検定された教科書は「オール・イングリッシュ」に対応できるよう工夫されているが、現場の教員から「混乱するのでは」「入試に対応できるのか」と不安の声も上がる。」産経新聞 4月7日
「ベネッセ教育研究開発センターが昨年8~9月、全国の高校英語教師50人に聞き取り調査したところ、不安・課題として、(1)文法は日本語で説明しないと理解できないのでは(68%)(2)苦手な生徒が英語だけで理解できるか(66%)(3)大学入試に対応できる学力をつけられるか(54%)――などが挙がった。」朝日新聞 4月7日
産経新聞、朝日新聞のlほかもこのニュースを報道していたが、マスコミは総じてこのことに批判的である。現場の教師の不安、不満、疑問を紹介し、受験対策についての問題提起が多い。
そんな中、産経、朝日の記事にもあったが、現場の教師たちの中でも、その準備のために自己研修に励んだり、これから始まる試みのために、独自にざまざまな準備を進めているいること紹介していた。私はそれを読んで大いに納得した。それでいいのだと思った。
日本の英語教育に問題があることは、戦後30年40年にわたって延々と論じられてきたことだ。それは今も続いている。今回改めてその議論内容を書こうとは思わない。結論はこうだ。私自身は自ら受けた学校での英語教育の経験も踏まえ、英語教育のあるべき姿の一つとして今回のような措置がとられることについて積極的な支持を与えたい。
今回の試みは高校での授業から始まるが、同じことを中学、さらにまだまだ英語教育自体限定的だが小学校の授業から始めてもいいと思う。つまり英語をどのように教えるか、その内容、方法論の中身はともかく、その授業を、教師が日本人であろうと外国人いわゆるネイティブスピーカであろうと、全て英語で行うには賛成、全面的な支持の立場である。その意味、効果について全面的に肯定したい。
ネイティブスピーカーならいいが、発音もましてや、文法もあやふやな英語を日本人教師がしゃべることがよくないなどという考え自体が大間違いだ。わざと極端なことを言っておく。教師がしゃべる英語が、つたなかろうと、間違っていようと一向にかまわないと思う。それは英語だけの問題でない。日本語以外の外国語だけで、そのコミュニケーションをはかる、はかろうとするその姿勢、スタンスを教えることに一番の意味があるからだ。
日本人が同じアジア人韓国人、中国人と比較して英語学習能力が劣っているのは、頭が悪いからでもなく、文法力がないからでもない。へたくそでもいい、つたなくてもいい、とにかく英語を使ってコミュニケーションをはかろうというスタンスの欠如なのである。日本人はそれを恥ずかしがるのだ。新しいことを学ぶのに一体何が恥ずかしいのか。それは物事を学ぶ上で妙なプライド、邪魔なプライドだと言わざるをえない。
それでなくても英語を喋れない先生が、生徒の前でそのつたなさを露呈したらますます生徒は授業そのものを信用しなくなるなどいうツイッターがあった。それに反論した。先生自ら、仮につたなくても、授業の中で英語のコミニケーション位は十分できることを示してやればいいし、示せるはずだ。そのことが大切なのだ、と。
第一日本の英語の先生、英語力そのものの潜在力は相当高いはずだ。なにしろ専門大学で英語の基礎をいやというほど学んできている。文法的なこと、発音のこと、語彙のこと、そしてその教え方までやってきているはずだ。そんじゃそこらのせいぜい1、2年、英語学校で会話を習ったものとそのレベルが違うはずなのだ。後はえいや、でそれをやるだけの度胸があるかどうかの問題だと私は思う。長年学んできただけにプライドがある? それはおかしい。
それにその授業を始めるに当って文科省当局ではないが、某研究機関が用意したと思われる語彙、表現集があったので参考にあげておいた。英語の先生にとって、こうしたものを参考にすべて暗記し、教室でそれを使うことなど簡単なことではないか。そうしたものをベースに自らの勉強も加え、英語授業に備えることなど多くの先生達はきちんとやってくれるだろう。
と、私は想像している。仮にそれができないとすれば、その英語の先生は教員免許を返上すべきだ。いや、そういう意見がやはりツイッターに寄せられていたが、私はそれについては「同感」のコメントをした。
新聞記事でもそのことを前向きにとらえ、それに備えてさまざまな準備を始めた先生達がいることを紹介していたが、それが本当だろう。
これが受験戦争の妨げになるなどという意見が結構多いが、それはまさに本末転倒論であろう。本来の英語教育のために受験制度が邪魔になっているのだとすれば、まずは受験制度そのものの改革論を本格的に始めることこそが本当ではないのか。
tad
関係記事:
高校教科書検定 英語で授業 不安の声: :sankei
英語で授業、大丈夫?:asahi
Classroom English(教室英語集)-授業を英語で行うための表現集- :aichi
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