「アメリカ議会上院の外交委員会で東アジア太平洋小委員会の委員長を務めるカーディン上院議員は、13日、ワシントン郊外でNHKのインタビューに応じました。
この中で、カーディン委員長は、安倍総理大臣が15日の「終戦の日」に靖国神社に参拝しない意向を固めたことについて、「ともにアメリカの同盟国である日本と韓国が緊張関係にあるのは、有益なことではない。韓国と良好な関係を築こうとしている安倍総理大臣の対応を支持する」と述べ、評価しました。
そのうえで、安倍総理大臣が、閣僚の参拝は「各閣僚の心の問題であり、自由だ」という考えを示していることに関しては、「閣僚も周辺国との関係を悪化させず、改善する道を模索するよう期待している」と述べました。
また、カーディン委員長は、沖縄県の尖閣諸島を巡る日本と中国の対立について、「アメリカの立場は明確だ」と述べ、尖閣諸島が日米安全保障条約の適用範囲内であることを改めて指摘し、中国をけん制しました。」NHK 8月14日
この記事の価値は最後の一行にある。
もうこの問題、靖国神社参拝問題で中韓がクレームをつけるのはいい加減にせよ、と言いたいことは言いたい。私個人的にはどちらかと言うと、こんなことで中国や韓国から誤解を受けるのなら、戦没者の慰霊が最大の目的と言うのなら、靖国神社でなく、日本国民誰もがなんのわだかりもなく参拝できる別の施設設立、設定案に賛成だ。現にそういう案が検討されてきたし、すでに実際そうなっているケースもなる。そういう形で決着をつけたらいいのではないか、それが一番だとずっと思ってきた。
ところが中韓はそうした日本側の配慮というか、気持ちすら無視してとにかく戦没者の慰霊を弔うこと自体がけしからんといいかねないところがある。
いくらなんでもそれはないだろう、と常々思ってきた。私自身、あの小泉政権の外交姿勢には基本的に反対であった。イラクへ強引に自衛隊を派遣したことなどがその典型例であった。ただ当時小泉首相が、歴代の日本の首相がとってきた基本的姿勢となんら変わるものでないとした上で、がんとして、靖国神社参拝を続けたことについて、むしろ支持をしたものだ。こんなことにまで、いちいちけちをつける方がおかしい。そういう気持ちがあった。小泉政権以来それで中韓との関係が悪くなったということがあったとしても、それはしかたのないことだとずっと思ってきたわけだ。
今回の安倍首相の対応、生ぬるいと思う国民も多いだろうが、まあそれでいいと大半の国民は思っているはずだ。私自身もそうだ。ご本人は小泉首相以上に、日本人としての意地を通したい気持ちがあったであろう。が、これだけ悪化した中韓との外交関係、こんなことでさらに悪化をさせる必要はなにもない。そこには行かないが、玉串を捧げ、気持ちはそこにある、とやっているのだ。それでいいではないか。妙な言い回しだが、うまいものである。
これについて、上記米上院東アジア太平洋小委員会委員長カーディン上院議員の評価発言を引き出したことは、一種外交的成果ではないか。カーディン上院議員は暗に、中韓の少々子供じみた感情論を、これ以上刺激することを避けたのは賢明だと言っているのだ。
一番肝心なのはそんなことでない。尖閣諸島をめぐる日中の紛争についての米国側態度ははっきりしていると念を押したのだ。丁度今盛んに中国船が尖閣列島海域で領海侵犯を続けていることも念頭におきながらの発言であろう。そのことから仮に軍事衝突でも起きたら、米国ははっきり行動を起こすということを宣言しているのだ。
そんなことは分かりきったことと云えばそうだが、しかしつまらない感情的対決などいくらやっても意味がない。一番大切なことは、仮に軍事衝突が起こったらどうなるかなのだ。その場合の日米同盟の重さ、確認しておく、中国に示しておくことの方がはるかに意味があるということだろう。
この問題について私は不思議に思うのは日本のマスコミの報道だ。領海侵犯の事実を伝えながら、それが極めてけしからんという内容の報道を聞いたことがないのだ。それが無法な行動だと中国を名指しで非難する報道の一つや二つあってもいいと思うのだが、それが全くないのだ。立場が逆であったらどうかだ。想像するまでもない。
しかし考えてみたら、それもそれでいいのかもしれない。仮に日本の報道関係がそれをやると、その三倍四倍くらいこれまた不当な感情的反発が返ってくるだけなのだろう。
そういう意味でも、このNHKのこの報道は必要以上に無用な感情的反発を引き出すまでもなく、日米の同盟関係の存在意義をさりげなく確認し、それ自体中国への大きな牽制となっている。そのことを高く評価しておこう。
tad
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