2013年8月28日水曜日

2013年度全国学力テスト「知識の活用力に課題」について

「全国の小学6年生と中学3年生を対象に行われた「全国学力テスト」の結果が27日公表されました。

国語と算数・数学のいずれも身につけた知識を活用する力に課題がある一方、正答率の低い地域と全国平均との差が縮まっており文部科学省は「学力向上の取り組みで底上げが図られている」と分析しています。

「全国学力テスト」は、文部科学省が平成19年度から小学6年生と中学3年生で行っていて、ことしは4年ぶりにすべての児童生徒、およそ230万人が対象となりました。
テストは国語と算数・数学で行われ、それぞれ▽基礎的な知識をみる問題Aとその知識を活用する力を問う問題Bに分けて出題されました。

公立学校の正答率の平均は小学校の国語のAが62.7%、Bが49.4%、小学校の算数のAが77.2%、Bが58.4%、中学校の国語はAが76.4%、Bが67.4%、中学校の数学はAが63.7%、Bが41.5%でした。

問題Aより問題Bのほうが正答率が低いのは過去のテストと同じ傾向で、複数の内容を分析的に捉えて自分の考えを書くなど、知識を活用する力に依然として課題があることが分かりました。

また、このテストでは都道府県ごとの平均の正答率を公表していますが、正答率の低い地域と全国平均の差が縮まり、今回初めて小学校のすべてのテストで最下位と全国平均の差が5ポイント以内におさまりました。

文部科学省は「学力向上の取り組みで底上げが図られている」と分析しています。
テストの結果は、28日までに各地の教育委員会や学校に伝えられます。」NHK8月27日

昨夜のNHKのニュース報道の中で、私が一番興味を引いたのがこの問題であった。このテストは全国的に行われているのだが、前回に続いて、全国では秋田県が優秀な成績を収めている。結果その理由、背景がどんなどんなところにあるのか、全国各地の学校から、先生たちが秋田県の学校に派遣されて、授業のやり方などについて研修が行われていることが紹介されていた。

その中で、秋田のある小学校の6年生のクラスだったと記憶するが、担任の先生がクラス生徒全員に一冊づつノート渡し、そこに毎日自ら選んだ、算数、国語などの練習問題を宿題としてやらせている光景があった。そのノート先生が全部チェックし、正解であるかどうかのチエックや、それに関わる問題、テーマについてついてコメントをノートに書き込み、毎日生徒に返すということ続けていることを紹介していた。

そうしたやり方こそがこのニュースで問題になった、子供の知識を広め、ただそれだけでなく、知識の活用力、応用力の向上につながるいい方法だとその報道は言いたかったのだろう。いや、そうだと思った。

それは学校全体でやっていることなのか、その先生独自の考えでやっていることなのか、報道ではそれについて何も言ってなかったが、いずれにせよ、同じ内容を教えるにしても、それをどう教えるかについては、担当の先生の指導能力、工夫次第だ言うのがこのニュースを読んでまず感じたことではあった。それがまさに実用力、応用力をつける方法そのものだと言うことだ。

我が家の孫娘は小学校4年生だが、8月中旬の夏休み、一緒に信州の方に旅行に出かけた。が家族ともどもその出先から担任の先生宛に暑中見舞いのハガキを出すことを非常に気にしていたものだ。というのも、丁度出発前に、先生から孫娘に暑中見舞いのハガキが届いたからだ。そのこと自体、先生にとっては学校から義務づけられたことでもなく、そのようにせよと指導されたわけでもないはずだ。先生独自のある意味教科指導法なのである。

それをもらった子供はそれは当然うれしいのだが、ただほっておいたらそれっきり、ひょっとしたら返事のハガキすら出さないかもしれない。子供よりむしろ親の方がそれを心配して、出かけた先の現地から、現地の山の絵を描いて返事出せとか、現地であることを証明する消印入のものでなければならないなどと子供に指示したりしていた。そしてまさにそれで学校でも指導に力を入れている絵手紙が一枚できるという結果に結びつくのである。これまさに応力力の指導そのものだ。

今回の全国テストについてば算数・国語。実際の学力テストそのものは総じてアップしている。が、その活用力、応用力という点ではまだまだ大きな課題として残っているというのが文科省の総括のようである。だからその面での授業方法のより改善工夫が必要だとしているのだが、それはその通りである。課題は同じ国語、算数を教えるにしても、それを一体どう教えたらいいのかである。

それは上で述べたようにそれぞれの先生の工夫次第だ、というのが一般論として正解なのだろう。しかし私は、それに加えて、答えはむしろ簡単だと言いたい。その答えとは算数にしても国語にしても、要するに、そうした基本的な問題を数多く、多様な形でやらせることにつきるのではないかと思うのである。

このテスト、国語算数について、問題が大きく2種類出されている。国語A、算数A、国語B、算数Bである。要するにAというのが、基本的な問題、Bというのがその活用力、応用力を試す問題である。

小学校部門、国語・算数それぞれどんな問題が出されているか、実際にごらんになってみてください。国語にしても算数にしても結構難しい。それでもAの方はなんとか答えは導きだせそうだ。大人でもまあ小学生なみの平均点位はとれそうだ。

ところが、これがBとなったとたん、ええっ? なんだってそれ?と大人でも大いに戸惑うこと間違いなしである。国語Bの問題、まず全体を読んでその全体像を把握すること自体がなかなか大変だ。なるほど、なるほどそういうことを聞きたいのか、ということを理解するためにはまずなにより読解力が必要である。

その上、Bの方に答えるためには、常日頃さまざまな問題についてきちんとした問題意識をもっているかどうか、例えば何が正しく正しくないのか、なにが常識、でなにが非常識なのかなど、少々大げさに言えば、きちんとした自分自身の価値観を持っているのかどうかが問題なのである。それを持っていないでどうしてその問題について何が正しく、なにがこの場合一番適切な答えなのか導き出すことができるのだろうか。

そうした問題意識、価値観、判断基準をきちんと持たせること、持つことがまず先決でそれは、こうした問題Bをいろいろやってみることだけでは決してつく能力ではないと思う。

私に言わせればそうした活用力、応用力を養うためには結局は、算数・国語・理科・社会どんな分野にせよ、Aに属する基礎的、基本的問題をより数多く、より幅広くやらせることだろう。それとともに、自分自身の意見、主張をきちんと持たせるためのいわゆるディベィート教育が必要なのではないかと思う。ディベィートなどと大げさなものでなくても、要するにクラス全体で、さまざまな問題について自分自身の意見、主張を発表させる、それについてクラスで議論する場をより多く設けることが必須なのだろうと思う。

それは案外簡単なことで、国語なら例えば1ページ位の文について、自分の思ったこと、感想を50文字程度で書かせることをやればいいのだ。その感想、意見について先生が必ずコメントをして返してやるというのがなにより大切ではないだろうか。

国語はまだしも、算数の場合話はもっと簡単である。昨夜のNHKの番組でBに類する問題を一つ例示していたが、私にはそれがどうして応用力を試す問題なのかどうかわからなかった。三角形の面積は、底辺X高さ、であること、互いに合同な図形の面積は同じであるということさえ、理解、把握していれば、簡単にわかる問題なのだ。応用力もなにもない。それがどうしてわざわざBの活用力、応用力を試す問題に分類されているのかさっぱり分からないのだ。

言いたいのは要するにそうした問題も基本的Aの分類の問題としてどんどんやらせたらいいだけのことではないか。算数のいわゆる文章題と称する範疇のものである。

結論としていいたいことは、要するに算数の場合はもちろんのこと、国語でもそんなAとかBとかに分類すること自体がおかしいと言いたいのだ。要するに国語の場合は、漢字、そ語句の意味を数多く、豊富に、しかもさまざまな例えをあげながら教えたらいいのだ。。それと共に国語の場合なにしろ、実用力をつけるためには、作文の機会をより多く設けることにつきるのではないか。

世の教育専門家をさしおいて、こんなことを書くのはまさに無定見のそしりをまぬがれないだろうが、一市民の意見として申し上げておきたい。

私自身は文科省がこうした全国テストに取り組むこと、またそれぞれの県がそれぞれの立場で、そのことに積極的に取り組む県もあれば、そうでもない県があるのはそうだろう。
こんなテスト毎年一度、一部でなく全私立学校も含めて全国的に実施したらいいのである。すべきだ。それぞれの学校ごとの成績を公表する必要はないが、それは県単位、市単位で担当教育委員会に知らされるべきことも当然のことだ。それをそれぞれどう捉え、どうアクションを取るかはそれぞれの県にまかせておくしかない。

これはこれから日本を背負って立つ子どもたちの教育問題なのである。いいところがあればそれはどんどん伸ばせばいいし、悪いところは具体的に改めていくべきことなど当然のことではないか。

今回の文科省の発表についても、その内容にもっと全国的に各方面からさまざまな議論が噴出しておかしくない問題だ。それがそうでもないところに大きな問題がある。

Aはともかく国語の問題Bを見ていて、私自身はこれは結構難しいなと感じた。これを見て感じたのは、むしろこれ小学校、中学校の教育の問題ではなく、こういう問題に対処する大人の問題意識の希薄さではないかと思ったのである。

tad

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