2012年12月30日日曜日

タブレットの方がパソコンより使いやすい?:PC379


パソコンクラブのHMさんが、12月22日の日経プラスワン誌に「タブレットはノートPCの代わりになるかー1カ月試したー何が出来るか徹底調査」という記事があることを教えてくれた。読めばその内容は分かるが、これについて何かコメントをせよとのご要望であったと思う。

私は日経新聞を購読していないが、毎日ネットで主なニュースは大抵チェックしている。新聞本体だけでなく、パソコン、IT関係の専門誌が数多くあってその中のニュースで参考になるものが多い。このBLOGでもそれを参考に引用の上、関連テーマを書くことが多い。このプラスワン誌の記事自体ははチェックできていなかった。

教えてもらった記事のURLでその全文を読むことができた。

その内容、読んで少々驚いた。プラスワンというのは日本経済新聞の土曜日別刷り版のようだが、この記事の中身、果たして専門誌を名乗るにふさわしい内容かどうか大いに疑問を持ったからだ。これを書いたお方は、プラスワンの編集委員だそうで、長年パソコンを使っておられるそうだ。そんな方が書いておられる記事、多くの日経新聞読者が一体これをどのようにお読みになったか、それぞれご感想を聞いてみたいものだ。読者としては長年パソコンを使っておられる方、パソコンなど殆ど使ったことがない方、いろいろいらっしゃるだろう。

パソコンなど使ったことがないが、最近流行りだしたタブレット端末って一体なんだろう、パソコンより使い方が簡単なようだから使ってみようかという人はこの記事を読んでその気になられた方もいるだろう。パソコンはどうも苦手でこれまで敬遠してきたが、この記事を読んで「タブレットなら使えるかも」とタブレット端末購入に踏み切る人がいらっしゃるに違いない。

その程度のことだと割りきっておけば済む話だが、この記事パソコンを長年使ってきたとおっしゃる方が書かれたものとしてはあまりにも雑というか、パソコン本来の機能、タブレット端末との違いなどについてもう少し、きちんとしたことを書いていただかないと不要な誤解を招くのではないかと危惧したのである。今朝はそのことを書いておく。

話を分かりやすくするために、少々長くなるが、記事の内容に沿って書いておく。この記事の冒頭から始まる。

「タブレット(多機能携帯端末)を使っていると「何ができるの?」と聞かれる機会が増えた。改めて質問されると答えに困る。主にインターネットの閲覧に使っているが、もっと別の用途があるかもしれない。何ができるのか、1カ月間、肌身離さず持ち歩き、確認してみた。」記事引用

コメント:

タブレット端末のことを(多機能携帯端末)と書いておられるように、そもそもその中身基本的にはパソコンと同じものなのだ。多機能とおっしゃりながら、自らは「インターネット閲覧に主に使っているが、別の用途があるかもしれない」とは一体なにをおっしゃっているのか。別の用途どころか、その使い方、使い勝手は少々違うが基本的にはパソコンと殆ど殆ど同じ機能があることはきちんと書いておかれるべきであろう。

本屋に行けば、タブレット端末、スマホに関するガイドブックが山ほど出ている。それはその多機能性をどうやって活用するかというものなのだ。それは実際には全てパソコン自体の機能と重複する。ただ違うのはタブレットとスマホは携帯性(モーバイル)に優れ、主に外出の時に使うものだ。一方パソコンの方は事務所だとか、自宅の机の上で使うものという違いがあるだけのことである。そのことをまず明確に説明されることだ。

自宅や会社事務所で使うのと、外出時、乗り物の中、歩きながら使うのとその目的、使い方に違いがあるのが当然なのだである。しかし実はその機能、性能ついては殆ど共通していることをまず理解しておっく必要がある。

「今回使用したのは米アップルのiPad2。画面サイズは10インチで、メモリーは16ギガバイトだ。最新型の2世代前になるが、この機種でできることなら、最新型でもできる。できること、できないことは最新型と大きく変わらないはずだ。電話回線でインターネットに接続できるモデルではないので、外出先でネットにつなげるための装置(無線LANルーター)を使う。」記事引用

コメント:

・「電話回線でインターネット接続できる」うんぬんとあるが、これ一体なんのことか。 外で使う場合はそれなりの無線受信装置が必要なことの説明は当然必要なのだが、それ はパソコンでもタブレットでも全く同じことである。

・タブレットといえばたしかにアップルのiPadが代表的なものだが、最近ではアンド ロイド系のもの、さらにWindows系のものが増えており、世代の違いもあるが  タブレットその選定に当っては、どのOSを選ぶかが、後で簡単に触れられてはいるが 価格的なことでなく、パソコンとの連携の上でそれが大きな問題、大切なポイントであ ることを是非説明しておくべきだ。

・パソコンはWindows、タブレットはiPadで悪いわけがないが、要するにパ  ソコンといい、タブレット といいスマホといい、まずはそのOS、Windowsな のか、iOSなのか、アンドロイドなのかに注意すること、留意することが大切なの  である。使い方、使い勝手のよし悪しを決めるのは、ソフト、周辺機器のことが関わり それがどんなOSであるか、まずその違いの大切さ、認識が重要なのである。

「まずはインターネット閲覧。これは全く問題なかった。それどころかタブレットのほうが便利な場面がある。なにしろ起動が速い。パソコンのように起動してネットにつなげたら【ソフトをアップデートしてください】」などと言われることもなく、ストレスなく使うことができた。」記事引用

コメント:

・こんな言い方だと大いなる誤解が生じる可能性がある。インターネット閲覧が早いか遅 いかは、それがパソコンか、タブレットかでなく、それぞれ接続のための回線のスピー ド、PC、タブレットの動作性能(CPU、メモリーの大きさなど)による。光通信と ADSLの通信スピード、最新のタブレットと3世代前のパソコンではその動作性能に 雲泥の差があることなど当然のこと。インターネットがすいすい見られるかどうかは、 パソコンかタブレットかできまるのでなく、そうしたことの組み合わせで決まるのであ る。その組み合わせによってはパソコンの方がタブレットよりはるかにインターネット 閲覧が快適、早いということはいくらでもありうる。

・パソコンでインターネットだけでなく、あらゆるサイトにアクセスしてそれを閲覧した り、情報、データをダウンロードしようとした場合、さまざまなセキュリティチェック が入るのは当然のことなのである。OSやウイルスソフトがセキュリティ確保のため、 絶えず更新を求められるのも当然のこと。タブレット端末がそれを省いていることがあ るとすれば、いやそうである場合が多いようだが、実はそれは危険なことなのだ。その ことに言及しないでこんな説明のしかたはおかしい。

・パソコンは基本的にはマルチタスク、いくつもの、仕事を並行してこなす、こなせる
 ようになっている。その一方でタブレットは、基本的にはシングルタスク、一つの仕事 づつこなすというように設計されている場合が多い。どちらが便利、どちらが効率的か の比較はそのことを考慮して決めて欲しい、決めるべきだろう。単純にインターネット の閲覧だけ取り出して、それが早い遅いということだけ言うのはおかしいのだ。

「(タブレットで)戸惑ったのはメールに返事を書くときだ。画面にキーボードを表示させて打ち込むのだが、キーを打つ感触がない。押したかどうか不安になる。 文章の短いメールはまだいいが、1時間のインタビューをメモにまとめるのはストレスがたまる。タイプミスが増え、入力も遅くなった気がする。(文章打ち込みには2倍の時間がかかる)」記事引用

コメント:

・これがタブレット端末の欠点と言えば、欠点、もっともそんななことは最初からわかり きったことだ。 私は文章入力にタブレットを使ったことなど一度もない。タブレット 端末の画面にキーボードを出しておいて、それで打つなどよほどの緊急時以外そんなも のは元々使い物にならないことなどわかりきったことだ。

・ではそれがタブレットの致命的欠点かというとそんなことは全くない。答えは簡単だ。 要するにタブレット(それは上記のようにOSの違いであったり、赤外線無線に対応しているかないかであったり、使用するソフトが何でなるかにもよるが)に外付けのキ ーボードをつないで入力すればデスクトップパソコンと同じようにまさにすいすい文字 入力ができる。

・タブレットというが、最近Windows8になって、通常のPCとタブレットを合体したタイプ、合体しているが、キーボード部分とディスプレー部分を切り離して使うようないわゆるPC、タブレット両用機、コンパチ機が数多く登場してきている。同じタブレットでもそのようなタイプのものを選べば、この問題は解決するはずだ。

「調査会社BCNでパソコンやタブレットを担当する森英二さんは「情報を作る人はパソコンが、情報を閲覧する人はタブレットがむいている」という。例えば自分でホームページを作るにはパソコンが便利。一方、他人のページを見るだけの人や、書き込むとしても形が決まっている交流サイト(SNS)程度なら、タブレットの入力機能でも十分だといえる。記事引用

コメント:

・「情報を作る人はパソコン、情報を閲覧する人はタブレットがむいている」なんじゃ これ? という言い分ではないか。料理を、「あんた作る人」「私食べる人」と分け、 作る人はいろいろ道具はいるが、食べるだけの人は箸だけあればいいと言ってるような ものだ。

・そもそも情報ってなんのために閲覧するのか、なんのために新聞を読むのか、なんのた めにTVを見るのかだ。たしかにそれは情報収集のためだが、それだけで終わるわけで はあるまい。それを収集した上で必ずなんらかの形でそれを活かして、情報発信する側 に回るはずなのだ。いやそれをしない人はあえて極論するならば情報発信の楽しさ、面 白さ、その価値を知らないだけのことである。情報端末という限り、その両方ができて 当然、パソコン、タブレット端末はそれぞれその機能を十分備えていることは明白である。

・しかし、まあその話はとりあえず横においておこう。タブレットが主に情報収集に向いていて、パソコンの方が情報発信に向いているなどという分け方は全く無意味である。

・パソコンはもちろんタブレット端末と同等それ以上に情報閲覧・収集ができるし、もちろんおっしゃるように、それを作り発信することにも適している。

・タブレットが情報収集に向いているが、その作成・発信には向いていない?何をおっし ゃるかである。すでに述べたが、タブレットとて、そのOS、ハード性能、使用ソフト にもよるが、立派なパソコン、上で述べたようにもし文字入力機能が劣るならマウスを 使ってもいいし、外付けキーボードをつけて使えばいいのだ。写真、動画を撮ることも できるし、音声入力だってできる。パソコンに負けることない情報作成機能を備えてい ることなど明白なことである。

・いや、それにしても「情報を作る人」と「情報を閲覧する人」と対象者を大別してしまうそのセンスには驚くばかりである。

・「SNS程度ならタブレットで十分」という言い分にも違和感を覚える。SNSと言っても広うござんす。文章はできるだけ少なく、主に写真、動画を中心にする人。私のように、やたら長い文章を流す人いろいろいていいわけだ、それはBLOG、ツィッタ ーも同じこと。そうしたものとの関わりのため、私自体はは主にデスクトップパソコン を使っているが、旅行先からのアップの時など、これまでは小さいネットブックパソコ ンを使っていたがこれからはタブレットを使う機会は大いにあろう。またそのつもりで いる。

「東京・巣鴨で高齢女性の集団が、タブレットで記念写真を撮っているのを見た」というのは、タブレットに関する書籍を多数手がけるオフィスマイカの井上真花さん。「スマートフォン(スマホ)より画面が大きく、ノートパソコンと違って画面をみんなで見られる。タブレットは楽しい写真を撮るのにむいている」記事引用

コメント:

・スマホやデジカメの写真に比べて、タブレットの写真が楽しい? これも、なんじゃそ れ?って感じ。なにせスマホに比べ画面が大きいから撮った写真を即さまざまな形で加 工しやすいことはその通りであろう。それだけのことだ。それはスマホだって、もちろ んパソコンにだってできること。

・そんな機能はパソコンにはないだろうですか。直接撮ることはできないが、高級デジカ メを使えばよりあらゆる意味で高級な写真を撮ってそれを簡単にPCに転送できるわけ だ。モーバイル性は少々劣るが、外出先でもデジカメ、パソコンの組み合わせで必要 な仕事をこなしている人はいくらでもいる。

「1カ月間、使った結果、思っていたよりも不便なことは少なかった。起動の速さなどノートパソコンより快適なことも多い。今回はiPadを使ったが、井上さんによれば「アンドロイドのタブレットでもできることはほとんど変わらない」。操作性は異なるが「これはウィンドウズとマックの違いと同じ」。価格はアンドロイドのほうが安い場合が多い。」記事引用

まとめのコメント:

・これがこの報告のまとめのようだ。これに対するコメントはほぼ冒頭述べたコメントに つきる。

・再度言うが、タブレットとパソコンの違いなど基本的には何もない。どちらもパーソナル・コンピューターであるということでは全く同じなのだ。さまざまな周辺機器を外付 けで使うのか、内蔵で使うのか、使うソフトの違いはたしかにある。それをそれぞれ工夫して組み合わせればいずれの使い方も同じようになるはずである。

・使える周辺機器、ソフトは、アップル系、アンドロイド系、Windows系による違いでそれが決まってくる。どんなタブレットを使うかはその使用目的と応じたそれそれのOSのタブレットの機能の違いを調べた上でなにを選択したらいいか決めるべき である。単に価格が安い高いの問題ではない。

いろいろ悩んだあげくパソコンを選ぶか、タブレットを選ぶかを決めるなければならない。その場合、どんなタブレットを選ぶかという設問については:

・それはどこで使うのか 自宅なのか、オフィスなのか、モーバイル(外出先)なのか。
・なんの目的で使うのか、ビジネスなのか、パーソナルなのか

・パーソナルの場合、そのおもな使用目的は

・パソコンの使用経験はあるのかないのか。そのパソコンのOSは?

・パソコン関係で使っている周辺機器やソフトは?

・自宅の通信機器環境、光、CATV、ADSLなど

・外でタブレットを使いたい場合、どのような通信環境を準備したのか
 していないのか。

Windowsパソコンをお使いの方がどんなタブレットを選んだらいいか:

パソコンクラブのHMさんが、この記事についてコメントせよと求められたのにはいくつかの動機があろう。一つには長年Windowパソコンを使っているが、Windows8に代わったことをきっかけに、決めなければいけないこと、考え直さなければならないがいくつかある。

1)最新のOSがWindows8ということになったが、Windows8はそもそも  タッチパネル操作ができる機種でないとそれを入れる意味がないか。

2)Windows8を使うメリットとその対応機として、パソコンタブレット端末を購入する場合どんな機種を選んだらいいか。

1)について:

・これまで何度もBLOGで書いてきた。Windows8は確かにタッチ機能対応が一つ大きなメリットというか機能面での特色だが、それ自体にこだわることなく従来通り通常のパソコンとして使うためのメリットもさまざまある。

・タッチ機能ということについては画面をタッチしてということでなく、周辺機器の導入 (ディスプレー、マウス、キーボード、Touch8 など)でそれらしく使うこと自体は可能である。

2)について:

・パソコンとしてに機能とタブレット端末としての機能両方を備え、そのように使える  機種、いわいるコンパチ機を選ぶのが一つ。いまそうしたものが出まわり始めているが まだまだ本当にいいものが出ろろっていない感じがある。その機種の選定には慎重を期 した方がいい。

・パソコン・タブレット両用、コンパチというより、パソコンはパソコン、タブレットは タブレットと割りきってそれぞれを購入する手もある。私自身はそうするつもりだ。い やすでにそうしている。

・というのもWindows8コンパチ機というとすでの述べたように割高、価格が高く なるのは必然だ。それよりもWindows7でいいから、パソコンとしての高級機を 購入し、タブレット はタブレットとして別途サイズを選び、しかも最新のものを購入 すればコンパチ機を買う予算で その両方を入手できる。Windows7機は少額で 簡単に8にバージョンアップできるのである。

「我が家の小5の娘にはフィルタリングをかけたノートパソコンを渡しているのだが、タブレットを購入して以来、すっかり使わなくなった。探している情報を見つけるのも早くなった気がする。「パソコンは不要」という人は、今後も増えそうだ。長年パソコンを使ってきた人間には寂しい気もするけれど。」記事引用

コメント:

・我が家の小4の娘(こちらは孫か)には専用のパソコンも専用のタブレットも与えていないが、私のパソコン、タブレットを使うに当たっては好きなように使わせている。 親の方はタブレットなど持っていないせいもあるが、どちらかというとパソコンの方を 触っている機会が多いようだ。必要な音楽関係の情報入手についてもパソコンでうまく やっている。いや、逆にタブレットしか与えなければ、タブレットでもうまくやるだろう。

・私はアンドロイドのタブレットを買ったは買ったが、自身ではなにをやるにしもデスク トップPCに優るものはなく、タブレットを使うことなど滅多にない。自宅でやる限りはインターネットの検索もすべてスクトップでやるそれが快速で早い。それで得た情報 の処理もまたデスクトップでやるに限るのだ。

・外出の時、それを使うという意味分からぬではないが、外出先ではさすがにデスクトッ プを使うわけにいかない。情報の検索はスマホか、タブレットということになるが、 一歩外に出たとたん、通信環境はせいぜいWiMaxか3Gとなる。外では自宅のよう に光回線のように快適にできるわけがないのだ。

・この記事にあるようにタブレットによるインターネットの接続・検索がパソコンより快適で高速であるなんてそんな一般論があるわけがないのである。

tad

関係記事:

日経プラスワン記事:nikkei