2017年7月1日土曜日

Googleに独占禁止法違反で3000億円の制裁金

『1日、Google(グーグル)はEU競争法(独占禁止法)に違反したとして、24億2000万ユーロ(約3000億円)の制裁金を払うように命じられました。

欧州連合(EU)欧州委員会は、商品を比較するGoogleショッピングで、Googleが優位になるように検索結果を操作していると判断。また90日以内にこの問題が解決されない場合は、1日1250万ユーロ(約16億円)の罰金が課せられます。これは、欧州委員会の過去最高額の制裁金となります。

「Googleは、自社の比較ショッピングサービスを促進するために競合サービスを降ろすなど検索結果を改変し、市場競争を不当に操作しました」「これは競争ではなく、EU独占禁止法の下では違法です」とベスタゲール委員は述べました。

Googleは、この声明を押し返し、検索エンジンの顧客に対して、可能な限り最高のサービスを提供していると主張しています。広報担当者は以下のように述べています。

「オンラインショッピングをする際、ユーザーは素早く、簡単に探している商品を見つけたいと思うでしょう。そして広告主は同じ商品を宣伝したいと考えています。だからこそGoogleは、ショッピング広告を見せることで、ユーザーと数多くの広告主、双方にとって有益となるように、大小さまざまな方法で繋いでいるのです。」

双方がそれぞれの主張を展開しています。

詳しい法律的な内容まではわかりません。Googleは当然司法裁判に持ち込みますがその結果がどうなるかも不明です。がGoogleがこの決定を覆すことは相当困難なことはそうでしょう。』Gizmodo

このEUの決定は、Googleと競争関係にEU内のIT関連企業からの訴えで、始め、取ったアクションでしょう。これまでも、米国企業については同じような訴訟が、アップルや、マイクロソフト社に対してもありました。ただ今回の制裁金の大きさは、過去最高のものであり、その大きさには驚かされます。

Google自体こうした訴訟に対しては予測もしていたし、その対策にも全力をあげるでしょう。裁判はその決着まで数年の長い時間が掛るはずです。ただ欧州委員会が念入りの準備をし、始めた訴訟、Google敗訴となる可能性が大であることは上記ニュース記事の通りです。

ただ従来の同種の訴訟と比べ、今回のGoogleの訴訟がちょっと違う点、争点が違うように感じるところがあります。

Googleの検索が欧州他社のそれと比べて、90%前後という圧倒的なシエアを持っていて、それが『独占禁止』を定めた法律に違反するということ、そう云われたら、なるほどそうかもしれないと受け止められるのは必然です。

しかし、問題はそのことによって、Google検索を利用している消費者が一体どのような被害、不当な損害を被ったかが問われなければなりません。

そもそも、なぜGoogleの検索がEU域内でそんな大きなシエアを占めるに至ったのか、という原点に戻るべきです。それは消費者がそのおおきなメリットの故にそれを選択したということです。

そもそもGoogleがその独占的地位を利用して、不当に高い使用料を消費者に強いているというのなら不当競争という言い分は成り立ちます。

しかしGoogleの検索に限ってはそうではないでしょう。なにしろ価格が高いもなにも、あらゆるGoogle検索自体、無償、無料で行われています。Googleは全社で高い収入、利益をあげています。しかしその殆ど、検索を含めたさまざまなソフト、クラウドサービスについては、法人ユーザーは別にして一般消費者に対しては基本的には無料で対応しています。その主な収益は法人広告から得ているのです。

広告収入となると、それはその独占的地位を利用して強制的にあげているわけでなく、自由競争の原理に基づいて得ているはずなのです。

検索機能を独占しているのはけしからんと云うが、その機能をフルに活用し大きなメリットを得ているのは法人、一般消費者そのものではないのでしょうか。実際、そうした独裁禁止訴訟は、アメリカ本土は、もちろん、その他世界各地どこにも起こっていない現状です。

アメリカという国、独占禁止法というもの、欧州ヨーロッパ以上に厳しく適用されることの多い国です。そんな背景のなか、かって米国内でこんな訴訟が起こったことは聞いたことがありません。日本でも同じことが言えそうです。

『ググる』などという言葉が、一般化した日本そして世界、Googleのそれが、世界中で圧倒的なシエアを保持するに至ったのは、それが優秀で、しかも無料で使えるという事実によっています。

そんな状況の下、『独占禁止法』に違反する行為として制裁金を課すという今回のEU欧州委員会の決定が果たしてどれだけの正当性があるのか、その法律論はともかく、私個人、一消費者として、大きな違和感を感じているところです。

まだこの問題、情報が十分得られていません。今後この問題、どのように展開していくか、大いなる関心を持って見守っているところです。

tad

参考記事:
Googleに独占禁止法違反で3000億円の制裁金:Gizmodo
EUが目を光らせるグーグルの「反競争的慣行」:Reuters

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