2007年1月29日月曜日

インドの衝撃:わき上がる頭脳パワー




先週の日曜日のGoogleの衝撃に続く、衝撃シリーズ第二弾だ。こちらは三回にわたって放送するらしい。その第一回目がこの「わき上がる頭脳パワー」である。これを見ていて本当にすごいと思った。
近年世界のIT産業の中で、インドのIT技術者が世界のあちこちの企業で大活躍していることは知っていたが、その内容、背景を具体的に知ったのは初めてであった。どうしてそうなったか、それはインドが独立以来60年、頭脳立国で生きるという戦略のもと、今や学問レベルでは世界一といわれるインド工科大学(IIT)を初めとする技術者教育に国をあげて力を入れてきた結果であるということだ。


インドは元々極めて貧しい国である。カネも資源もない国が成り立っていくには優秀な人材を育てる、数学や物理といった分野なら頭だけ使って勝負できるという発想からそうした分野の教育に力を入れたのだ。それが現代のIT時代、コンピュータ、ソフトウエア産業、情報産業の時代のニーズにマッチしたのだった。IITがその象徴的代表的存在である。そこでの教育方針、内容を見て、衝撃を受けたのは言うまでもない。


もっと衝撃を受けたのは大学でのそれだけでなく、インドの小学校での算数の授業の光景だった。先生は子供たちがいかに算数・数学好きになるかということを念頭に、難しい問題を次から次へと答えるよう誘導している。子供たちも夢中になってそれに取り組む。そうした背景があって、そうした中からさらに数学、物理などの基礎学問に秀でた学生が厳しい競争を経てIITなどに入学できるのである。


これを見ていて、これはもう日本の今の教育などでは到底太刀打ちできない、と思ったわけだ。今安倍内閣はゆとり教育を見直し再度学力アップをめざす方向を打ち出そうとしているが、それにはこうしたインドなどの教育が念頭にあってのことかもしれない。日本だって少子化の中、経済発展を続けるためには、IT、サービスの分野での優秀な人材育成が国是であっておかしくない。ゆとり教育見直し論は疑問だ,などと言ってみたが、このインドの教育の様子を見て、学力アップ教育が必要かもしれないと思い直したわけだ。


この番組の中で、インドの識者の一人が言っていた。今や世界は完全にフラットになった。インターネットの普及で世界中どこにいても、どんな立場にいてもあらゆる知識は容易に平等に入手することができる。フラット化とはそういう意味だ。


しかし知識をいくら得てもそれをどう利用するか、そこから何を生み出すかが問題でそれができるかどうかは、最後は人間の頭脳の良し悪しがそれを決める。インドが今多くの人材を輩出しているのはまさにそのニーズにこたえるような人材教育を行ってきた結果だと話していた。


今世に「デジタルデバイド、情報格差」という言葉がある。問題はその解釈だ。情報を得られるか得られないかなどもうたいした問題ではない。問題はそうして得られた情報をどう加工し、そこから何を生み出すかの能力の差が問題なのだ。


このインドの衝撃、第一回目の番組を見て、日本の教育関係に関わり、それをリードする指導者達は一体なにを感じ、考えたのだろうか。私は今そのことに一番関心がある。


「 活力に 指をくわえる 少子国 」

tad

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