2017年2月22日水曜日

「プレミアムフライデー」について考える

「プレミアムフライデー」は停滞する消費を盛り上げようと、経済界と政府が月末の金曜日に、午後3時をめどに従業員に早めの退社を促し、買い物や旅行を楽しんでもらう全国的なキャンペーンで、24日から始まります。

これを前に東京・千代田区で参加企業の取り組みなどをPRするイベントが開かれました。この中で、経団連の石塚邦雄副会長は「国民の皆さまが消費に前向きになって日本経済に活気を取り戻すことにつながるよう着実に推進したい」と述べました。

また、世耕経済産業大臣は24日にカーリングに挑戦することを明かしたうえで、「時間の使い方は型にはまらず自由に考えてもらいたい」と述べたほか、人気アイドルグループ「関ジャニ∞」のメンバー、村上信五さんは「時間が増えると、金土日で、コンサートを楽しんでもらうこともできると思います。取り組みが広がって継続するよう応援したい」と話していました。

協議会によりますと「プレミアムフライデー」のロゴマークの使用を申請した企業や団体の数は、20日までにおよそ3000件ということで、どの程度早めの退社が広がり、消費の喚起につながるかが注目されそうです。」NHK  

「独り暮らしの高齢者が600万人に迫る勢いで急増している。その半数近く、およそ300万人が生活保護水準以下の年金収入で暮らしている。そうした中には、医療や介護といったサービスさえ切り詰めて暮らす高齢者も少なくない。貧しい暮らしを知られたくないと周囲に助けを求めずに孤立する高齢者も増えていて、支援が行き届きにくくなっている実態もある。いわば“老後破産”ともいえる厳しい現実を伝える。」 NHK 

上記二つのNHKネット記事を並べて出した意図は、ご理解いただけるでしょうね。「それが、世の中というものです。経済というものです。政治というものです。こんな次元の違うことを二つ並べてなにか言おうとすること自体ナンセンスです。それはそれ、これはこれでしょう」と云われたら、「はい、そうですか」と引っ込まなければならないのでしょうか。

私自身はこの「プレミアムフライデー」というアイディア、プロジェクト自体にケチをつける気などさらさらありません。確かにそれで現役世代が活気づき、その生活が充実し、消費が拡大し、経済が活性化するなら大いに結構なことだ。それによって税収が増え、高齢者に対する福祉、社会保障のための基金が確保されるということになるだろうということでしょう。

しかし、しかしです。

最近、あのトランプ氏が使いだした「アメリカ・フアースト」という言葉があちこちで流行りだしています。ところがその意味内容自体大きな矛盾に満ちた言葉であることなど改めて言うまでもないのです。

アメリカが再び偉大な国になることを目指すというメッセージ自体は何も間違ってはいません。ただそのために、なんでもかんでも、アメリカの利益になる、アメリカにとって得なことだけをやるという意味ならそれは違うと言わざるをえません。

私は日本国民だが、より身近なところで言うと日本国民である前に東京都民です。前回の東京都知事選の時、私は病院のベッドにいて不在投票したのですが、小池氏以外の候補者に一票を投じたのを記憶しています。小池氏が突然登場して、その政策について十分な理解がなかったこともありました。

小池氏が知事になってからのさまざまな改革の姿勢、試みについては高く評価するようになりました。ただ、最近氏が使いだした、「都民ファースト」なる言葉はどうもいただません。

それは一体どういう意味なのか。意味不明といわざるをえない。明らかに流行りのトランプ語録の真似です。そんな紛らわしい言葉は使わない方がいいようです。

都政と言わず、いかなる地方自治体と言わず、いかなる行政におけるいかなる決定事項、政策決定のための価値判断の基準は、都政にとってどうかなどでなく、一自治体のためだけでなく、なんらかの普遍的は価値判断基準に基づくものでなければならないことなど当たり前のことではないでしょうか。なにが都民ファーストだ、と言いたいのです。

話は少し横にそれてしまったようです。

プレミアム・フライデーの話に戻ります。それは現役世代のやる気を喚起し、経済を活性化するためのものであることは分かります。しかし国家国民の生活の現状を考えれば、なにをおいても経済の活性化ファーストでなく、やはり社会福祉ファースト、社会保障制度ファーストという考えでなければならないのではないでしょうか。

今日の日本国家の繁栄と生活レベルの向上が実現出来たのは、高齢者層の働きのおかげであったはずです。その高齢者の7割が破産状態であることを放置しておいていいものかどうか。

現在の現役世代はそれを見て将来に対して大きな不安を抱いていることも現実なのです。

なにはともあれ、そうした高齢者層の悲惨な状況をなくする社会保障制度、政策の充実こそが、最優先にするべきこと、社会保障制度ファーストでなければならないはずです。

「プレミアム・フライデー」が、現役世代だけでなく、引退高齢者世代にとっても、なにかプレミアムな楽しみ、生きがいを与えてくれる、インセンティブとなるものに出来ないものか、考えられませんか。

tad

参考資料:

プレミアムフライデー:NHK
NHKスペシャル 老人漂流社会 “老後破産”の現実:NHK 

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