2013年9月2日月曜日

シリア情勢、なによりも国連改革が必要なのでは

「オバマ大統領は、アサド政権による化学兵器攻撃が行われたシリアに対し、軍事介入を決断したと語った。介入の時期については明言しなかった。シリアへの軍事介入を決意したものの、(攻撃は)限定的なものになる」と述べた。また、対シリア武力行使について議会が再開される9日以降に議会の承認を求めるとした。」産経新聞 9月1日

これを受けた議会の側の反応はさまざまある。上下両院の与野党は、大統領から投げられたボールにどう答えるかである。もっともそれがどちらに転んでも、この重大決定については、大統領との共同責任になる。オバマ大統領は、議会は間違いなく、自身の決定を支持するものと確信しているに違いない。いや、大統領の読み通り、おそらく議会側は基本的に大統領のこの軍事介入の意思決定を支持することになるのではないか。

軍事介入そのものについてアメリカの世論はまさに真っ二つに割れているが、化学兵器は原爆と同じ絶対の禁じ手。これを戦争で使用する国が存在することは、米国自体の安全を脅かすというオバマ大統領の主張は、議会の承認はもちろん、世論の大方の支持を得ることになるだろうというのが私の予想である。

今回の場合、イラク戦争の時のように地上部隊を派遣するというのでなく、化学兵器を製造していると思われる場所を、限定的にピンポイント攻撃するという説明にも世論の理解が示されるように思われる。アメリカというのはそういう国柄なのだ。その点、日本人の防衛意識と大きな違いがある。

日本の安倍政権、このオバマ大統領の決定が仮に議会で承認され実施となった時、それを積極的に支持するかどうかだ。当然するだろう。するにしても、それがイラク戦争の時のように、自衛隊を派遣するような事態にもならないし、要するに化学兵器絶対禁止の立場から、米国のこの方針については支持せざるをえない。そのことは直接の軍事介入を議会が否決した英国はじめ、ヨーロッパ諸国とて同じことのはず。別に日本が突出して米国支持となるわけではない。

それでも、その支持でアメリカ属国論とかなんとか盛んに出てくるだろうが、それはおかしい。毎日のようにぬけぬけと領海侵犯を繰り返すあの中国のことだ。この尖閣列島をめぐる中国との対立、中国がそれを奪うために実力を行使する可能性を否定できないような情勢の中で、アメリカとの安保体制、軍事同盟関係をゆるぎないものにしておくためにも明確な米国支持表明はは当然のことではないか。

シリア・アサド政権の後ろ盾になっている、ロシアや中国は、シリアが化学兵器を製造しそれを使用しているという証拠などどこにあるのかというスタンスを貫いている。しかし、問題はこの国については、化学兵器のことだけが問題であるわけでない。そもそもこの国の圧政、独裁政治の存在そのものが問題なのだ。アサド政権が内戦で十万人近い自国民を殺戮してきたということを一体どのように、どこまで正当化するつもりなのかということだ。ロシア、中国の両国がアサド政権側に武器を供与を含めて、その後盾となってきていることなど明白なことだ。

シリアの国政のことなど外国が関与すべきでないということだろうが、それは単なる内戦ではない。それがアラブ周辺諸国、世界全体の国の安全保障に関わる問題なのである。石油資源ということを含めてそれは日本にとっても同じことだ。

だからこそ国連という組織がさまざまな形でそれに関与するということもまた当然のことのはず。国連から人権監視団が派遣されて、その人権蹂躙の実態を調べ、それをどう改善するか、報告あったりする。さらに国連安全保障委員会が、そうした実態をふまえてアサド政権に対する懲罰動議を提出したりするのも必然のことのはず。

それをロシア、中国がそれについてはいとも簡単に、拒否権を発動しこれを葬り去ることを繰り返してきたのだ。それがアサド政権の延命を助け、結果的にシリア市民の大量死が続くという事態なのだ。ロシア、中国、その首脳は一体それをなんと考えているのだろうか。

それは確かにシリアという特殊な独裁国家のことなのだが、その一方でそれは国連という国際的組織がそうしたことについて何の解決能力もないことを露呈している典型的なケースである。

北朝鮮の原爆開発問題では、中ロはそれでも他の安保理国とその懲罰動議に足並みを揃えた。それで少なくとも北朝鮮問題自体はなんとか、ある意味改善の方向に進みつつある。ところがどうして、この中ロ二カ国、シリアアサド政権については、このように理不尽な後盾スタンスを改めないのであろうか。一体どんな根強い利害関係が存在するのか。

ある意味こんなわかりやすい国際紛争についてすら解決しようとしない国連、できない国連、さらにあの安保理なる存在って一体なんなのだろうかとつくづく思う。先のBLOGhttp://blogs.yahoo.co.jp/tadhayase/62488973.htmlでも述べたことも含めて、日本は今こそ先頭にたって、この国連組織の不合理さ、理不尽さをもっと強く訴えていくべき時ではないのか。

tad

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