2017年3月23日木曜日

「指先で世界動かす140字 「ツイッター政治」



「指先で世界動かす140字 「ツイッター政治」をどうみる

指先でつぶやく140字が世界を動かしている。1月に米国大統領に就任したドナルド・トランプ氏は、大統領選の期間、1日何度もつぶやき続けた。「メキシコとの国境に壁をつくれ」といった過激な発言は、しかし、日増しに多くの支持者を集め、大統領の座を射止めるに至った。そして、大統領になってからもつぶやきは続いている。ツイッターで動いていく政治や社会を歓迎すべきなのか、懸念すべきなのか。3人の識者に尋ねた。」 Yahoo 

Yahooライターの問題提起である。その三人の識者の見解は次のようにまとめられている。

猪瀬直樹・元東京都知事、作家:
政治家はどんどん指先から発信せよ」

西田亮介・東京工業大学准教授:
:「対立を煽るツイートこそがトランプ勝利の要因だった。しかしその手法は今や問題をはらんでいる。」

津田大介・ジャーナリスト:
「最悪の形で実現したツイッター政治。」
以上ご三人の見解を読み比べながら私の見解、意見をまとめておきます。

猪瀬氏の論調は最悪である。「政治家はどんどん指先からその見解、意見
を発信せよ、そうしてよい」とは一体何事か。それによって、今アメリカがそして世界が大混乱に巻き込まれている現状は一体どうなるのか。どうするのか。

二番目の西田亮介・東京工業大学准教授の見解、対立を煽るツイートこそが(大統領選での)トランプ勝利の要因だった。」と述べている。それはそうだが、トランプ氏が大統領になった今も、ツイッターなるものを用い政治を行っていることには無理があり、疑問があるとし、既存のメディアの役割に期待されることも大きいと指摘されていることには納得だ。

その点では第三番目の津田大介氏の「最悪の形で実現したツイッター政治」という総括が、一番的を得ていると私は思う。米国大統領たるものが、これから実施しようという政策、方針をツイッターという140字という制限的手段を用いること自体に無理があるとしている。その通りで同感だ。

トランプ大統領、選挙期間中の一政治家ならともかく、今やアメリカのみならず、世界のトップリーダーなのである。その氏が毎日発信しているのは、単なる情報、意見、見解でなく、アメリカ国家、世界の政治を動かす具体的な政策、方針なのである。

それは大統領令の内容そのものだ。それを、140文字内のツイッターなるもの、つぶやき的に軽々とやっていいわけがない。

その結果、そのつぶやきは世界中に大混乱を引き起こしている。しかも、国内の司法当局から、ストップがかかるありさまなのだ。トランプ氏の政治家としての基本的能力そのものが問われている。

氏が使う英語は中学生程度とよく云われるが、英語自体は、極めてわかりやすくていい。問題はその中身、論理そのものだ。論理の組み立てがなっていないのである。その論理の展開は、中学生以下かもしれない。肝心の氏の政治に関する知識、見識はひょっとすると、中学生並、いやそれ以下かもしれないといと云われてもしかたがないところがある。

民主主義政治の大原則、司法、行政、立法の三権分立ということすら理解していないのではないかと思うことがある。司法、しかも地方の地裁が、大統領令にストップをかける、そのことが、けしからんと言う始末なのだ。

立法府との関係、一昨日もオバマケア廃止に関わる法案の成立に異議を唱える共和党議員に対し、そんなことをしていると、議員の資格を失うことになるよと、脅したりしている。とんでもないことだ。これも立法府が、行政府と同等の独立した「権力」であることが分かっているのかと、聞きたくなることだ。

大統領の発する行政判断に対し、議会が与野党を問わず賛成したり、反対したりするのは当たり前のことだ。それを与党のくせに、なぜ反旗をひるかえすのかとやっている始末なのだ。

メキシコに工場建設をする計画を引っ込めない米トヨタCEOや日産のCEOに対し、それをやめよと、頭から命令的に会合の席で言うのである。それをツイッターでつぶやいたりするものだから呆れてしまう。

かって行政府の長たる大統領が、民間企業トップの意思決定にクレームをつけたり、その変更を求めたことなどあったろうか。このことについて、誰も批判の声をあげないのは極めておかしい。

これまた一種の重大な、憲法違反行為のはずだ。

さらに米国の一流のメデイア記者を、ホワイトハウス記者会見の場から追い出す。そして、そうしたメデイアはフェイクだとツイートするのである。それがフェイクである証拠などなにも示さないで、一方的につぶやくのだから、たまったものでない。

マスメデイアにしてみれば、それも思想、信条の自由の侵害だとまともに訴える気にもならぬ暴挙なのである。

ひどいものだ。猪瀬氏はそうしたトランプ政治が世論の支持を得ているなどと
書いているが、最近トランプ政治への世論の支持率は大幅に低下し始めているのは事実だ。当然であろう。

21日のアメリカ株式市場は、一気に200ドル以上暴落した。就任当初大幅に上昇した株価であったが、ここへ来て、そんなトランプ政治のいい加減さを見据えた結果であることは明白だ。株価が大幅な下落に転じたのは、そろそろそうしたトランプ政治の基本的な限界が見え始めた、化けの皮が剥がれはじめたということではないか。

話は三人の識者のトランプツイート政治の評価に戻る。一番目の猪瀬氏の評価など最悪であることは既に述べた。二番目の西田亮介・東京工業大学准教授の疑問の提示、及び三番目のネット評論家津田大介氏のトランプ・ツイッター政治は最悪、という見解に私は百%同調する。

そもそもトランプ氏がツイッタ―という手段で、その見解、意見をアメリカ国民に直接訴えるということを始めたこと自体が基本的に間違っていると云わない。そのこと自体なんら非難されるべきことではない。選挙期間中その政策、方針をそうしたネット手段で直接国民に訴えるという発想自体はなにも間違ってはいない。

問題は氏が大統領に選出されてからのことだ。氏はもはや米国大統領候補でなく、大統領なのである。その大統領が発する政策、方針が140文字限定のツイッターなる手段に収まるわけがない。その手段、方法がそもそも不適なのである。

その中身が不当、不適当であることが根本的に問題なのだが、それ以前にいかなる内容であれ、ツイッターという手段方法が大統領が発する方針伝達の手段としてはいかにも不適なのである。

140文字という文字の範囲で一体どれだけの内容を正確に、的確に伝えられるかである。しかもその内容が不正確であり、原理、原則、論理に欠ける根拠のないものとなると、発信の結果が政権に致命的な影響をもたらすのは必至ではないか。

ツイートという手段は元々、「起承転結」、問題を提起し、その解決策を論理的に説明、展開するという手段たるにふさわしいものではない。

そうした目的を実現するためのネットの手段は他にいくらでもある。SNSがそうであり、BLOGもそうだ。ツイッターなどまさにつぶやきのレベルなのである。どうして、BLOGやSNSというメデイアを用いないのかである。

アメリカはデイベィトの国だ。学校教育でさんざんデイベィトの論理・技法を教える国柄なのだ。その国がどうして、あのような、トランプ流つぶやき政治に国全体がほんろうされるのか、されているのか理解しがたいところがある。

しかし。そろそろその限界、ほころびが大きく見え始めた感をもつのは私だけだろうか。

このトランプ政治、トランプカードゲームに例えてみよう。

トランプ氏、ご本人はもちろん切り札のエース気取りだし、そのはずであある。ところがどうもみていると、この新大統領、なんだか除々に「裸の王様」化している感があると言うと言い過ぎだろうか。

その行く末。今後アメリカがどうなっていくか、そして世界が、日本がどうなるか、想像もつかない今日この頃である。

tad

参考記事:
「指先で世界動かす140字 「ツイッター政治」をどうみる:Yahoo

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