2013年2月22日金曜日

最近増えている「ありがとう」の連発は妙か


「例えば会社で部下に「コピーをとって」などと用事を頼んだときに、部下から「ありがとうございます」と言われたら、どう感じるでしょう。

日本語の使われ方を調査・研究しているNHK放送文化研究所によりますと、本来は感謝の気持ちを表す「ありがとうございます」ということばの、これまでと違った使われ方がこのところ目立ち始めているということです。

もともと「ありがとうございます」は、「有り難い」から生まれたことばです。
「自分の希望がかなうことは、なかなか『あるものではない』」という気持ちが「有り難い」になり、それをかなえてくれた人に「ありがとう」と伝える、本来は相手がしてくれたことへの感謝の気持ちを表すことばなのです。
ところがこのところ、恩恵を受けた(与えた)とは考えにくい場面で「ありがとうございます」が使われるケースが、目立ち始めているということです。

例えば、上司)「これ、10部コピーをとっておいて」
部下)「はい、ありがとうございます」といったやりとり。」nhk 

まずはこの引用記事の全文をお読みください。でないと、全体の趣旨がお分かりにならないでしょう。

こうした事象も最近よく言われる日本語がおかしくなった、乱れている事例だと、この研究員の方はおっしゃりたいのか。そうだとしたら、私はNHK放送文化研究所なる日本を代表する「言葉」の研究機関の問題提起としては、少々的外れではないかと思う。

この記事を読んで、Twitterでの一連の反応、やり取りが「最近増えてるらしい妙なありがとう」の謎」と題して紹介されているサイト記事があるのでごらんください。

そこではただツイート内容が羅列して紹介されているだけだが、私は敢えて、そのそれぞれいくつかのツイートに私自身のコメントを書いてみた。それを、参照していただければと思う。こちらのツィートから、最後のツイートまでのものを元のツイートとともにお読みいただければと思う。

まとめ:

・この研究員の問題提起は、この種の「ありがとう」は不自然ではないか、日本語として おかしいのではないかということであるようだが、それはまさに言葉の本質を違え捉え ているのではないか。

・上司部下の関係があるのに、ものを頼まれた方が、「ありがとう」という事が論理的に おかしいという趣旨、しかも比較するに事欠いて、居酒屋でその言葉の連発を聞いて  ついついそれが出てしまうのではないかなどとなんだかおかしな話である。また仮にそ うであったとしても、それでいいではないか。

・それはまさにその部下の謙虚さの現れであり、今日もきちんとお互いに人間関係の維持 コミュニケーションが出来てうれしいという表現以上でもなければ以下でもないはずだ 。

・日本人に比べて英米人、いや英語の場合、”Thank you”という言葉、あらゆる場面で
 連発するのはご承知のとおりと思う。あらゆるシチュエーションで "Thank you"
  そして、それに、”Thank you”と答えるのはごくごく自然のこと、それに違和感など 感じる人などいない。その場合、前の”Thank you ”は  "Thank”にアクセントが  あり、後ろの "Thank you”には ”you ”の方にアクセントがあって、「いえ、こち らこそありがとうね」というニューアンスだ。後の場合は、"Thank you" の代わりに  "My pleasure" (喜んで)と応えるのも極めて普通である。

・どっちが先に "Thank you”と言うか、言わないかなど関係ない。Thank you、ありがと うは、互のコミュニケーションの常套句なのだ。いや、そうあるべきではないのか。

・外国人がそれをあらゆる場、家庭、職場、一般社会で連発するのに比較して、日本人  はあまりそれを言わない。当然言ってしかるべき時にすら言わない傾向にあることは事 実だ
。 
・そういう意味でも最近その「ありがとう」があちこちで連発されるようになったことは むしろ妙な現象でもなんでもなく、日本人も社会人としてより通常の当たり前の人間と してコミュニケーション能力が上がってきた証拠だと言えなくもない。

・日本には以心伝心という言葉があるが、これが一つ結果的には意思疎通障害につながる 大きな背景となっていることが多々ある。いかなる場面であれ、互に「ありがとう」を 連発することの方が健全な人間関係、コミュニケーションを維持するためよりよい結果 を生むことは明白であろう。

・それを言う言わないが人と人との社会や職場、家庭での上下関係で決まること、そんな ルールなど一切ない。それを言う言わない、さらにそのありがとうにどう応えるかは百 %、その人となり 感性の問題である。

・この事象をもって日本語が乱れているとか、おかしな使い方などということは全くない 。これはむしろ日本人が正常な人間関係を維持するためには、言葉によるコミュニケー ション、その基本ともなるべき、「ありがとう」という言葉を大切にしょうと心がけ始 めた証拠であると捉えるべきではないのか。

tad

関係記事:

最近増えている妙な「ありがとう」:nhk

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