2013年2月5日火曜日

ソフトバンク「ネットと国家」の試練、スプリント買収のハードル:PC403



「ソフトバンクによる米携帯通信大手、スプリント・ネクステルの買収を巡り、新たなハードルが姿を現した。米司法省は1月30日、連邦通信委員会(FCC)に買収審査を保留するよう要請した。米連邦捜査局(FBI)および国土安全保障省(Department of Homeland Security)が進めている安全保障面での審査結果を待って、FCC側の処理を進めるよう求めている。一方、米携帯通信大手ベライゾン・ワイヤレスや衛星通信のディッシュ・ネットワークも「ソフトバンク-スプリント」の誕生が通信業界の競争環境を変える可能性があるため、FCCへの接触を強めている。「世界第3位の通信グループ」を目指すソフトバンク・孫正義社長は、その“野望”に向けて試練に直面している。」nikkei
2月4日

ソフトバンクが米携帯通信大手スプリント・ネクステルを買収することで、「世界第3位の通信グループ」を目指しているとニュースは既知のことだ。今日本のIT、通信関係企業がm国内ですら中国、韓国、台湾などのメーカに押されてさえない状況の中にある中、日本のソフトバンクが、通信業界の本丸とも言うべき米国に乗り込んで、第三位の地位を目指そうということについては、「すごい挑戦だ、頑張れ」と応援の気持ちを抱いていたものだ。

どんな業界であれ、企業そのものを売ったり、買ったりする、しかもその相手が国内であろうと外国企業であろうと基本的には当たり前、日常茶飯事の米国のことだ。このソフトバンクの買収計画位すんなり進むかと思っていた。が、買収計画発表以来かなり時間が経過するのに、一体どうなったのかと思っていた矢先のこのニュースであった。そしてこの冒頭の読んで、「なるほど、これは国家の安全保障ということが絡んでいたのだ」と納得したわけである。

外国企業が米国の大手放送事業者や通信事業者を買収する場合、連邦政府の安全保障機関による承認が必要となる。また、通信業界の大型買収では、司法省の独占禁止法部門による審査と、FCCによる無線免許移転申請審査をクリアしなければならないそうだ。

現在、米司法省とFBI、国土安全保障省は共同で、ソフトバンクによるスプリント買収の審査を進めており、今回は「その審査の終了を待って、FCC(連邦通信委員会)が免許の最終審査をおこなうことになっている。その要請書はFCCのホームページで公開されているが、表向きは単純な事務要請で、審査内容に関する情報は一切ないようだ。

これについてはソフトバンク、スプリントとも「通常の手続き」としているが、同要請書に関しては様々な憶測を呼ぶ背景がある。実際にはまだまださまざまな難関が横たわっているようなのである。

というのもソフトバンクグループは2012年10月15日に、スプリント買収を発表した。それと並行して、同社は中国の通信機器メーカー、ファーウェイ・テクノロジーズ(Huawei Technologies、華為技術)と同ZTEの製品を採用していることを明らかにしている。それが問題で、米政府や議会は、この中国製の通信機器が米国の安全を脅かすのではないかとの懸念を表明していた。つまりこのことが、まだまだこの買収認可の難関となるということなのだ。

そのことに関しては、この日経新聞記事はそれ以上の言及はない。私は、これと同じようなケースとして2004年の中国企業レノボによるIBMパソコン部門の買収のことを思い出した。

これも同じような背景、経緯があって、米国議会筋、国土安全保障省などから強力な横槍が入ったが結局は買収は承認されたのだった。IBMと言えば、米国はもちろん世界を代表するコンピューターメーカ、今日のパソコンというもののまさに「標準」を作った企業なのである。ことそれがコンピュータ、パソコンとなると、携帯電話などという通信機器どころか、そうしたものを含めたあらゆるIT機器技術の根幹を内包するものだ。国家の安全保障だ、なんだと言うなら、規模、内容において今回の携帯電話どころでない技術が関わっているはずであった。

そんな技術的な中身について全くの素人の私でも、その買収計画自体もっともめるだろう、いや、その認可自体ないではないかと予想していたのだった。ところが最終的にはそれがすんなり認可された。そしてあのパソコンの世界からあのIBMのブランドが消え、今日のレノボとなったわけだ。パソコンの日本語変換の技術に関しては日本IBMが高い技術を持ち、その観点から日本IBMからのレノボへの技術移転も相当なものがあったと聞いている。古い時代からのパソコンを知っている私などなんとなく悔しい気分を持ったものだった。

当時私はどうして米国政府がそ国家安全保障ということに深く関わるコンピュータ、パソコンというもの、IT関連の高度な技術移転を伴うような買収を中国企業レノボに対し認めたのか不思議でならなかったのだった。

今回のこのソフトバンクの買収劇などあのIBMパソコン部門の買収劇に比べればその規模内容からいってもたいしたことがなさそうなのだ。にも関わらず何を今更騒いでいるのか、というのが率直な一素人、一外国市民の感想なのである。

tad

「ネットと国家」の試練、スプリント買収のハードル:nikkei 
レノボ: wikipedia 


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