2013年2月4日月曜日

「マイナンバー法案」は最優先の課題だ


「税や社会保障の情報を一元的に把握するため、国民一人一人に番号を割りふる「共通番号制度」について、政府・自民党は、導入に必要な、いわゆる「マイナンバー法案」を来月にも国会に提出する方針で、成立に向けて民主党や公明党に協力を呼びかけることにしています。

「共通番号制度」は、税や社会保障の情報を一元的に把握し、納税や年金の受け取りなどの手続きを簡略化するため、国民一人一人に番号を割りふるもので、野田内閣が去年、導入に必要な、いわゆる「マイナンバー法案」を国会に提出し、民主・自民・公明の3党で修正協議が進められましたが、衆議院の解散に伴って法案は廃案となりました。

これについて、政府・自民党は、「政権が交代しても、一人一人の所得や医療費などを把握してきめ細かな政策を進めるためには、共通番号制度が必要だ」として、制度の導入に向けた準備費用を新年度予算案に盛り込むとともに、来月にも野田内閣の法案とほぼ同じ内容の法案を提出する方針です。

さらに、法案の提出に先立ち、民主党や公明党と協議し、成立に向けて協力を呼びかけることにしています。

ただ、自民党内では、「新年度予算案の審議が例年よりずれ込むなど、国会の日程が厳しいなかで、優先順位は高くない」という指摘も出ていて、法案が今の国会で成立するかどうかは不透明な情勢です。」nhk 2月3日 

「マイナンバー法案」、かっての自民党時代時代から総背番号制などの呼び名でその導入の必要性が検討されていた。民主党政権でも野田内閣が社会保障と税の一体改革のために導入が必要だとして国会に提出していたが、廃案となってしまった。そしてまた自民党政権になってそれが再提出されようとしている。

その中身先に民主党が提案していたものと殆ど同じというから、自民公明両与党と民主党が賛成すればすんなり成立するはずだ。維新、みんなだって反対する理由などなさそうだ。ところが驚くべきことに肝心の自民党内にこの法案の優先順位は高くないそんな重要なことでもないという意見が結構あるようだ。

どうしてなのか。それはないと言いたい。そもそも先の先の総選挙で自民党が政権を失った最大の理由の一つはあの消えた年金問題だったはず。年金制度の改革もなにも、まず国民一人一人の年金記録が正確に把握されることなくどうやって制度運営ができるのか。

自民公明政権末期、その呼び名は忘れたが、現金のバラマキをやったことがある。そのいい悪いはともかく、誰にいくら配布するかその事務手続に膨大な経費が掛かることが話題になった。そうだろう。国民一人一人の所得情報が把握されていないため、各自治体での配布作業が大変で、そのトータルの事務経費が支給総額に匹敵するくらいのものになった。

どんな社会保障制度、税制にしようと、そうした根本問題の解決、国民の所得、税、社会保障情報を正確に把握しないでどうして制度運営ができるというのか。出来るわけがないのだ。そういう意味で、どうしてこの「マイナンバー制度」導入の優先度が低いという認識なのかわけがわからないのである。

この制度に反対する政党や政治家はそれが国民のプライバシーを犯すことにつながるという理由を持ち出すことは承知している。もちろんそのおそれはおおいにある。それはいわゆる個人情報の最たるもの、その秘密は絶対に守られなければならないことなど改めて言うまでもないことだ。政府はこのマイナンバー制度運営に当たっては、個人情報の秘密を絶対守るための必要措置を法案に盛り込むべきことは必然条件なのだ。

自民、公明、民主の三党合意で消費税増税が決まったが、軽減税率設定をめぐって与党内自民、公明で見解がまとまっていないようだ。そもそも本来消費税なんてものは所得いかんにかかわらず一律に掛かる、掛けるものだからこそその本来の意味があるはずだ。それを所得に応じてどうのこうの言い出すと大変ややこしい話になるのは必然である。

突然出てきて話題になった孫への贈与は1500万円まで無税などという提案なども同じである。しかも贈与を受けた側は教育費にのみ限定してそれを使うことがその条件だという。そんな管理を一体どうやってやるのだろう。国民一人一人の所得の内容、場合によっては生活費の支出内容まで把握しなければならないのである。

それもこれもすべて国民一人の所得、支払っている税金、受けている年金ほか社会保障受給などの状況を正確に把握しなければ、いかなる制度であれその運営は不能である。それには大変な時間とコストが掛かる。そうした制度はできる限り一律的、単純なものであることが望ましいのだ。

いずれにせよ、このマイナンバー制度、その呼称などどうでもいい。その法案の一日も早い成立をめざすことこそが、社会保障と税の制度設計のための最優先事項であることを指摘しておきたい。

tad

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「マイナンバー法案」:nhk  


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