2013年2月28日木曜日

政府検討の留学支援制度に賛成



「政府は、海外への留学を希望する大学生全員に対し、年間の留学費用の3分の2を無利子で貸して支援する「官民ファンド」を検討し始めた。2014年度にも留学支援をスタートしたいという。安倍政権が力を入れる「成長戦略」の一つで、日本からの留学生を増やし、世界で活躍できる人材を多く育てるねらいがある。

まず政府と企業がそれぞれお金を出し合ってファンドをつくり、大学生の留学希望を受け付ける。米国に留学する場合、学費や生活費などで年間300万円ほど必要になるため、200万円ほどを無利子の奨学金などで貸すという。

文部科学省によると、日本人の海外留学生はピークの04年には約8万3千人だったが、09年には約6万人まで減った。不況などで留学費用を出せなくなったり、学生が「内向き志向」になったりしているという。」朝日新聞 2月27日

コメント:

同じアジアの国でも中国や韓国の学生が大量に米国などの大学に留学しているのに、日本の学生は極めて「内向き」なのだ。2月18日のBLOGhttp://blogs.yahoo.co.jp/tadhayase/62089837.htmlで日本の大学生が一日30分しか勉強しない情けない状況を書いた。米国や韓国や中国の大学生はもっと勉強するのである。そんなことではそもそも大学に入った意味がないし、そんな大学では将来日本を背負って立つ人材は育たない。勉強もしないで就職活動ばかりやっている今の日本の大学、大学生は全くダメなのだ。

そういう意味でも米国とは限らないが、外国の大学に学ぶこと、外国の文化に触れることは日本を開かれた国にするため、世界で活躍できる日本人を育てるために、外国の大学に学び、刺激を受けたり、新しい発見をすることは是非必要なことなのだ。そういう留学経験者をより重く用いる風潮が、民官を問わず採用する側に必要なことなのだ。留学ということ、単に語学研修のためとか、いわゆる箔をつけるためとかでなく、国際的に通用する人材を育てるためという認識がより一般的になってしかるべきだ。

そういう意味で今回政府が留学支援制度を打ち出したことは大賛成である。官民フアンドなるもの意味、中身がいまいちよくわからないところがあるが、どんな形にせよ官民が一体となって、こうした支援活動を政府が展開することはたしかに重要成長戦略の一つだと思う。

こんなことがどうして成長戦略になるのかといぶかる向きもあるだろう。それは要するに国家の長い目で見た経済成長のためには、ますますグローバル化の社会にあって世界的視野で世界の企業、あらゆる世界の舞台で活躍できる人材を育てることこそが急務であり必須なのだ。そのための留学支援制度なのである。

そのためには日本からから留学だけでなく、外国からの留学生を支援すること、外国学生への支援制度を強化することもさらに大切では。どこからの国であれ、日本への留学生が増えることは、将来それが目に見える形、見えない形で、日本のために役に立つことは必定だ。留学生が増えること自体、少子化で学生の数の減少に悩む大学、大学のレベルの維持、大学の活性化のためにも必要なことではないか。

この記事では年間300万円の費用をどうするかなどということになっているが、4年間留学するためにはその4倍の費用が必要になる。これはなかなか大変だ。4年間通してということが無理であれば、二年、三年を日本の大学で、最後の一年または二年をを米国の大学などで学び、その大学の卒業資格を取るような制度を確立することも必要ではないか。そうしたフレキシブルは制度は米国の大学側には十分存在しているようだ。

問題は日本の大学だ。要するに日本の大学、米国の大学の制度をよく研究し、日本の大学で取った単位が留学先の大学で認められるようにしていくことだ。いやそうした制度は現実米国の大学間では当たり前になっているし、外国の大学ともそうなっているはずなのだ。だから、日本の大学で二年間、学び残り二年を米国の大学で学びそこで卒業資格を得ることもできるはずだ。

米国大学、外国大学の卒業資格ということについても問題がある。日本の社会ではでは米国ほか外国の大学を卒業してもそれを資格と認めないようなところがある。日本といいアメリカといい一口に大学といってもさまざまレベルがあることは事実だろうが、上記の単位を相互に認める制度の確立ということにも関連するが、日本では米国の大学を卒業したら日本の大学卒業と同じようにそれを認めるような制度というか慣習の確立が必要ではないか。

この問題さすがに例のTPPの交渉の中身の一つにはなっていないようだが、仮にそれを認めることが日本文化や制度の破壊につながるなどという考えはやめるべきである。日米の大学の交流を深めること、留学生の交流を深めること自体、間違いなく日本の大学のレベルアップにつながるし、勉強しない日本の学生への警告、刺激ともなろう。米国の医師、弁護士の資格をそのまま日本でも通用するようにせよ、などという話とちょっと次元が違う。たかだか、大卒か、高卒かというレベルの話なのである。要するに就職の条件の一つが大卒か否かということなら、米国大学卒も、日本大学卒にもなんの差もつけないということが必要だ。

官民フアンドなるものの意味がいまいちわからないと書いたが、要するにこうしたプロジェクトへの政府の関与もさることながら、民間企業からのより積極的な参加が望まれることには変わりはない。経団連他経済団体はTPP参加に賛成のようだが、それがより開かれた経済社会をめざしているということであれば、そのための環境作り、もっとも重要なこうした人材育成のためんほ留学支援制度などについてもっと積極的な資金支援の施策を展開して欲しい。

教育充実にカネを掛けることが成長戦略の柱だという考えは正しいと思う。そういう意味でも、民主党政権が高校無償化実現したことの意味は非常に大きいと思うのである。自民党はそれをバラマキと言ってさんざん批判したが、今やその立場は変わった。高校無償化どころか、より大きなバラマキとの批判も免れないこんな留学支援制度を打ち出した。しかし実際にはそんな中身、教育投資の額としてはしれたものだ。

安倍内閣、グローバル化する社会に通用する人材を育てるためにもあらゆる教育分野、初等中等、高等分野への積極的な投資を惜しまないことだ。補正予算が国会で通った。四野党がそれがいわゆる従来型の公共投資に偏りすぎているという修正案を提出したが否決されてしまった。

たしかにもっと、コンクリートより人への投資の比重が高くなるべきではなかったか。

tad

関係記事:

官民フアンドで留学支援:asahi  2月27日

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