2013年1月15日火曜日

先送りできない日本の課題、賛成か、反対か


「2011年3月の大震災の直後に出版した前書『先送りできない日本』は、おかげさまで多くの読者を獲得しました。にもかかわらず、日本は相変わらず「先送り」ばかり。そこで、この本が生まれました。この本を読めば、明日から何をすればいいか、すぐにわかるというものではありません。しかし、どうすればいいのか、自分の頭で考え始めるきっかけにはなるはずです。少しでもお役にたてますように。」池上彰 「日本の選択あなたはどちらを選びますか」角川文庫 2013年1月より 

本屋でこの本を見かけたので立読みした。これは先の「日本の課題40」シリーズ本の第二弾である。非常にいい内容なのだが、それに応えるべく、この本の中で池上氏が設定された十の設問に自分の意見を書いておこうという気になった。みなさんも是非そうされてはいかがであろうか。

それぞれ自分は、賛成か反対か、そのどちらかを明確にし、その理由を簡単に述べてみようではないか。それは十分意味のあることだ。

以下は私の意見です。池上氏の設問とそれに対する私の意見、そして池上氏の見解についてコメントする形をとっています。

第一章 消費税増税に賛成ですか反対ですか

私は消費税増税が長い目でみた場合絶対必要であることは認めます。しかしあの野田民主党政権と自民党公明党がからんだ三党合意で増税のいきさつはどうみてもおかしい。だから今回の増税には反対です。

自民公明両党は増税という既成事実だけにまず乗っておいて、政権奪取後は、次回参議院選挙ではそれで負けることのないよう、それを言いがかりにしてあの大掛かりなアベノミクスを展開しているのです。それに成功すれば、だから増税の条件が整いました、増税しますとやるだろうし、失敗すれば、いや景気回復が十分ではなかったので、増税先送りしますとやるつもりなのです。いずれにせよ、それで政権が致命的影響を受けることはないようにするつもりなのです。

安倍政権がもし今展開を始めた政策に失敗したら日本はたちまち財政大ピンチに陥ってしまう。消費税増税どころでなくなる。

池上氏はちらりとこのことを示唆されているのですが、この自公政権のやり方、あり方をもっと明確に批判して欲しかった。いやこれからでもいい、やっていただきたいものです。消費税増税うんぬんよりも、安倍政権が展開を始めた金融政策、財政政策、経済成長政策なるものについて、消費税増税、賛成反対をからめるべきでした。

単に消費税増税賛成、反対で終わる話ではないのです。

第二章 これからの社会保障は高齢者重視? 次世代重視?

当然次世代重視であるべきです。

私は高齢者でありますが、現在の自分の生活は満足しており、特に不満は感じていない。もちろんそうではない高齢者もいらっしゃるだろう。にも関わらず、これからの社会保障ということに関してはいかなる政権であろうと、高齢者より、次世代重視の姿勢を打ち出すべきです。でないと国家の明日はない。

池上氏もそのお考えのようです。


第三章 これからも安いものを作り続けますか?

それはやめるべきです。やめざるをえない。

日本がモノづくり大国であったことはそうでしょう。しかし今はもう安くていいものは
韓国、中国、台湾などに取って代わられたのです。かって日本がアメリカにとって代わったようにです。そしてそのアメリカ、もうもの作りというより、ITの分野ソフト、サービスの世界をリードしている。

日本もそうあるべきです。ITに限らず、新しいエネルギー、省資源技術、観光、医療、教育、先端技術開発など、あらゆる分野で生きる道はいくらでもある。新しい農業の展開という分野もある。そうした分野を開拓すべきであって、もの安くていいものなど競争にならない。

池上氏もそうしたお考えのようです。

第四章 領土問題は強硬に? 穏便に?

あくまで穏便であるべきだと思います。それは何も安易に尖閣列島や竹島のことで中国韓国にその主張を譲れということでない。その争いについては現状を維持しながらその一方で互いの経済交流・文化交流は拡大していくべきだということです。当たり前のことではないか。それをあえて相手の感情を刺激するような石原氏の存在などこそが最大の領土問題の枷になっているのです。

池上氏のご意見は必ずしもい明確ではないですが、限り穏便に行くべきだといういうことでしょう。

第五章 日本の維新の会に投票しますか、しませんか?

投票などしませんでした。選挙であんな結果になったことを極めて遺憾に思っている国民の一人です。橋下氏と石原氏の考えは天と地の違いがある。数多くの矛盾を抱えた維新の会がこれからも伸びていくとは到底思えない。また伸ばさせるべきでないと考えます。

池上氏も橋下氏などの政治家としての力量、その新鮮度など評価しながらも、組織としての維新の会の存在、あり方に疑問をお持ちのようです。

第六章 大学の秋入学に賛成?、反対?

私はことこれまでのBLOGでも書いてきました。当然賛成です。それに反対する人たちがなぜ反対なのか、全くわからない。それが日本の大学が世界に向かって門戸を開くための絶対条件だからです。日本からもっと多くの学生が世界の大学に留学を志向すべきだし、逆に日本の大学はもっと世界から多くの留学生がくるように国際化をめざすべきでしょう。それが日本の大学が生き残る唯一の方法だし、日本の教育レベルを守る最善の道でしょう。秋入学はそのために必要なのです。

このことについては池上氏も同じお考えのようです。

第七章 教育委員会制度は存続? 廃止?

存続でいいと思います。なにかことあるとすぐに制度がいい悪いの問題となる。ことがうまくいかないのは制度の問題ではなく、その中にいる人間、専門家が本当にその名前に値するだけの人格、識見をもっているかどうかが問題なのです。教育委員会が公選でなく市長任命になったのはそれなりの理由があったからです。任命権者である市長や知事がが教育問題にしっかりした考えを持っているかどうかが問題なのです。公選であるより、市長や知事が本当にいい委員を選べることの方が、うまくいく確率が高いと考えます。

池上氏の意見は正直よくわかりません。おそらく公選性に戻すべきではないかということでしょう・

第八章 原発ゼロに賛成? 反対?

原発ゼロに賛成です。それも何年先かという問題ですが、もちろん即とは申しません。
私は10年位の時間を掛ければそれが可能だし、そうした目標を掲げれば日本の技術をもってすれば、それが可能になるだろうと信じるものです。

池上氏はどうやらどちらからという同じ原発ゼロでもとより長い期間をかけてやるしかないというお考えのようです。

第九章 どうする選挙制度改革、一票の格差許せますか

許せません。先の選挙について、当然違憲訴訟が起こっていますが、今回については最高裁は無効の判決をすべきです。それは現実的でありえないと、どうして最高裁判事はそんなものの考えをするのでしょうか。たしかにそれで国家は大混乱となるでしょうが、国家の憲法、法律とはその位大切なものだということを示すために、一度はそうでもない限り国会なるもの、相変わらずこうした違憲状況を続けるでしょう。

池上氏は当然このことに疑問を呈しておられますが、さすがに最高裁は違憲、選挙無効判決を出すことまでは言及されていないようです。

第十章 がれきの広域処理は受け入れるべき? 断るべき?

当然受け入れるべきでしょう。もし東京都が受け入れを決め、仮に、それが私の住む場所からそんなに遠くない場所であっても、それについては甘んじて受け入れるべきだと考えます。ようするに原発ゼロを叫ぶ限りに、そのくらいの覚悟は決めるべきだということです。

池上氏もがれきの受け入れ位、住民として市民として日本国民としてその苦しみをわかちあう精神をもつべきだとのお考えのようです。

tad

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