2013年3月15日金曜日

TPP参加交渉と農業改革長期戦略


安倍総理、いよいよTPP交渉参加を表明するようだ。オバマと話をつけ、自民党内反対派も説得した、必要な手続きは全部踏んだというわけだ。国会で、自民党は先の選挙で「TPP 断固反対 ブレない」やっていたことを公約違反と追求されても、そんなこと言ってましたかね、と平然たる様子。いや、だって「聖域」はちゃんと守るとオバマにいいましたよ、というわけだ。

安倍総理、一旦参加交渉が始まれば、東京新聞のスクープもあったように、後発参加国のいかなる言い分も無視される可能性が高いことも分かっていての参加表明なのだろう。公約違反だの、アメリカのいいなりだの言われても、それ自体はまさに国家の存亡をかけた高度な政治判断、それこそがが長い目で見て国益に適うことだという信念をお持ちなのだろう。

それもこれも、世論は安倍政権誕生後のさまざまな政策、政治を大々的に支持してくれているという自信がその判断を支えているようだ。世論はTPP交渉参加の是非についてもほぼ半数、50%が安倍政権の姿勢を支持しているのだ。

それを見ていると日本の国民、、本当にTPP参加ということの意味、その長期的、短期的なメリット、デメリットを考えた上で総合的判断をし、その上での賛同なのかどうか大いなる疑問があると言わざるをえない。それが巷言われるように、それで日本の農業が壊滅的打撃を受け、自分たちの生活そのものが危機に瀕するようなことになりかねないといと懸念や心配もしていないようなのだ。そもそも結構楽観的、達観的なところがあるのは相変わらずである。まあここはとりあえず安倍政権にまかせておけばいい、そんな判断らしい。

マスコミは総じて、TPP推進支持で、そうした自民党の選挙公約違反行為にも実に寛大だ。大荒れしそうだった自民党内もなんだが丸く収まってしまったのも、世論の支持やそうしたマスコミの報道姿勢が無関係ではないようだ。

安倍総理の決意、それを支持する世論、それが現実だとすれば今はもう、参加交渉自体が一体どのように推移していくのか身守るしかない。日本の農業は聖域で、それは守ると宣言した安倍政権のことだ。米国を中心の交渉相手が日本の言い分を一切認めない、妥協しないということなら離脱もありうる、それを信じていたい。

疑心暗鬼になるのはそうした交渉内容、経過が一定機関一切秘密で公開されないということだ。なぜそれが秘密なのか、それを刻々明らかにしていると、交渉そのものができなくなるというは分かる。いずれにしても、その安倍政権、巷言われるようにその交渉でアメリカのいいなりになったり、日本の国益が大きく損なわれるような交渉で妥結することは断じてないと信じているほかない。

参考交渉で安倍政権が国民の信頼を大きく損なうような事態になれば、国民は今度こそ選挙で自民党政治に断固ノーをつきつけるチャンスは残っている。今はそれしかない。

今TPP参加することの是非とも直接関係するが、長期的には日本農業ただただ守るというより、むしろ攻めの姿勢に転じることこそが必要だという安倍政権の主張には全面的に賛成だ。TPPに参加するか、しないかでなく、なにがどうころんでも、日本の食料自給率を上げ、食の安全保障のためには、日本の農業改革こそが本来の国家戦略そのものなのである。

そのことにいかに真剣に取り組むか、そのためにもTPPへの参加によって待ったなしの状況を作りだすことが必要であり、それが大改革のためのきっかけになるという考えには、私自身大いに賛成だ。いや、それがいいかの悪いか、そうした性向は日本人の特性であり、いいところかもしれない。

日本は世界に冠たる災害大国、そのおかげで、世界一地震に強い国になった。あの東日本地震に対応した日本、日本人の打たれ強さは世界から賞賛された。日本という国、日本人はピンチに追い込まれたら必死で働き、頭を使う人間なのだ。まさにピンチをチャンスに変える強さを持ち合わせるのが日本という国であり日本人なのだ。

まさに遅ればせながら、日本農業を守りから攻めに転じるとか、農業を第6次産業化するなどと言うことの中身が大いに論じられるべき時がきたようだ。論争だけで終わる暇はない。そうして施策の一つ一つの展開こそが今一番求められていることなのだ。

TPP参加交渉など、まさに交渉ごと、日本の交渉力のなさ、弱さは現実あるかもしれない。但し今回こそは、日本という国家、政府、その交渉の中で日本の食の安全が危機に瀕するような条件を突きつけられたなら断固それを否定し、席を立って拒否する強さを持ち合わせているものと信じたい。

さらに私は今一番大切なこと、もっと国会で議論すべきは、これから日本の農業のどこをどう変えていくのか、いかないのかという長期の戦略、その具体的政策、施策を論じることであろう。そして来るべき参議院選挙ではその施策の実行の是非が最大の争点になっているべきだと思うのである。

tad

関係記事:

TPP拡大交渉会議 日本の「聖域」に懐疑的な発言相次ぐ:iza
TPP交渉 自民総会了承 議論2時間「あっけなかった」: iza
攻めの農業 首相は本気で抜本改革を:「主張
第六次産業:wikipedia
疑問だらけのTPP反対論「参加すれば日本農業が全滅する」はホントか:iza 

0 件のコメント: