2013年3月9日土曜日

ネット選挙解禁法案、なぜメールを除くのか


「メール除くネット選挙解禁法案、自公と維新が共同提出へ

インターネットによる選挙運動について、自民、公明、日本維新の会は5日、メールを除いて夏の参院選から原則解禁する公職選挙法改正案を来週に共同提出することで合意した。社民党も共同提出に加わることを検討している。民主党とみんなの党が提出した、ネットを全面解禁する法案との修正協議に入り、今国会で成立する見通しだ。

与野党の実務者がこの日、国会内で協議。自民、公明両党が、メールを使った選挙運動は政党と候補者に限定する改正案の共同提出を呼びかけ、維新が賛同した。社民党は週内に結論を出すとした。

共産党と生活の党は、国会での審議を通じて賛否を判断する考えを表明した。」朝日新聞3月5日

重要なポイントと疑問点:

・ここ数年社会の情報ネット化が進む中、ネット選挙解禁の必要性が叫ばれ、国会でもさ んざん議論されてきたが、残念ながら実現に至っていない。それがやっとこの夏の参院 選から解禁になるようだ。それは日本の政治文化の改革、民主主義進展のための第一歩 であると位置づけていいのだろう。

・今日本で議論されていることが、先進欧米民主主義諸国とどう共通しているのか、違い があるのかについてもっと知りたいものだ・

・ホームページ、SNSなどは解禁するが、メールは政党、候補者のそれは認めるが有権 者個人については解禁しないという。なぜか。有権者個人のメールによる選挙活動を認 めるとなりすましなど組織的な悪用が多発する可能性が高いということらしい。

・自公両党、とりわけ公明党が個人メールの解禁に反対なのはなんとなく分かる。しかし 維新がこれに反対するのはどういうわけだろうか。維新といっても橋下共同代表など純 維新派と、石原共同代表など古株維新派ではそもそもネット選挙解禁そのものに根本的 な考え方の違い、差があるのではないか。なにせ維新お年寄り議員は、メールは困る。 連絡はFAXで頼むというセンスなのだ。

・民主党やみんなの党はメールを含めた全面的解禁を主張し、別途解禁法を出すようだ。 個人的には全面解禁案を支持したい。選挙は一般有権者のためにするのであって、自公 のように既存、「特殊」な政治政党グループが得意とする組織がらみの選挙活動を展開 することより、一般市民がメールという手段を用いて選挙活動に直接参加することの方 がよほど民主主義政治確立のための意味は大きいのはないか。

・政党や候補者のメール利用は認めるが、受信者への事前通知、了解が必要だという趣旨 もおかしい。今選挙中悩まされるのがあの電話作戦である。電話ならその了解が必要で なく、メールの場合はそれが必要だという根拠は一体なんなのか。その迷惑加減はメー ルより電話の方がよほど大きい。

・SNSやツイッターは解禁のようだが、それとメールの違いは一体どうなのだろうか。 ただ一方的な情報伝達でなく、オープンに情報伝達が双方向的に行われるところが重要 だとすると、メールよりむしろSNSやツイッターの方が選挙戦のためには利用価値が 高いのではないだろうか。

・そもそもFacebookなど最近のSNSが栄えるのはその参加登録がすべて実名主 義であることによる。政治問題を含めてそこに記載されたり、論じられたりすることが なんであれ、その発言者が特定できるということが大切なのである。そうした場でもし 公序良俗に反することや、選挙法上、違法な発言があれば、その個人の責任を特定でき るのである。そのことが重要なのだ。 

・SNSはいいが、メールはダメという理由の一つはメールの方がなりすましなどによる 悪用が予想されるかららしい。そもそもそのこと自体がすでに犯罪であるはずで、それ に厳罰を課すべきことなど改めて議論の必要もないはずだ。もちろん選挙活動のついて 予想される悪用禁止内容をきちんと規定しておくことになんの反対もない。

・そのような意味においても、ホームページやSNSは解禁だが、メールがダメという理 由、根拠がよくわからないのである。

・今後国会でこうしたことをめぐっての議論が展開されるようだが、いずれにせよ、それ がどのような形になるにせよ、もはやネット選挙解禁は避けられないことだ。それによ って有権者国民の政治意識が高まること、政治そのものへの参加意識が高まること、そ れによってよりよい政治、民主主義が制度として確立していくことこそが一番大切なこ とである。

・そのためにも、メールがどうの、SNSがどうのということより、より多くの有権者国 民が、メールを使ったり、SNSやツイッターに参加したりできるようになること、「 情報リテラシィ」を向上させることこそが大切なのだろう。

tad

関係記事:

ネット選挙解禁法案:asahi 
ネット選挙解禁法案の各党協議の交渉状況報告のムービ:twitter 

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