2013年3月8日金曜日

世界でネット授業普及、激震の日本の大学


まずこちらのネット記事をざっとお読み下さい。

名門大の授業、無料配信 米で450万人超が受講:asahi  3月6日
米名門5大学が無料のオンライン授業、質問も可能な双方向型:reuters 2012年4月15日


一月のセンター試験が終わり、一次二次の国公立大学、有名私立大学の試験もそろそろ終わりに近づきつつある。最近はさほどでもなくなったが、毎年この時期、週刊誌が、どの大学に、どの高校から、どれだけの数の学生が入学したか報道する。大学、高校、受験生そして受験塾が、これを一つの基準として、それぞれ一喜一憂し、そしてその行動を決める参考とする。企業もそうだ。学生の採用に当っては、そもそも応募の学生が本来どんな能力を持っているか、資質を備えているかなどより、どの大学を卒業してきたかがまず絶対的な基準としているのだ。

就職難の時代、大学生は難関の入試までは死に物狂いの勉強はするが、目的の大学に入ったとたん大学の授業、その中身などどうでもよく、最近のBLOGでも書いたようにろくろく勉強もせず、次の目標、とにかく有名企業企業に就職することを目指す、いわゆる就活に全力をあげる。

こんな馬鹿なことを繰り返しやっている大学、大学生、企業、そして日本の制度がネット化、グローバル化する世界の中で本当に生き残って行けるのかという疑問、懸念をどうしてもっと持たないだろうか。

そうした懸念のいくつかをさまざまな形でこのBLOGでも書いてきたつもりだ。TPP交渉参加を決めた安倍内閣だが、それについては「聖域」を守るかどうかが、その是非についてののキーワードになっていた。私自身は、「コメ」はその聖域の一つであること、「国民皆保険制度」も、それであっていいことは、認める方の立場ではある。しかし、その名、「聖域」の名の下に、もっと開かれてしかるべき機関、業界、制度、仕組みが温存され、そのため日本という国家が大きく世界のネット化の潮流から取り残されることになってしまいかねないことがところあるのではないのか。

日本の大学などその典型の一つではないか。今朝冒頭にあげた二つのネットニュース記事がそのことを示唆している。それぞれその全文をお読みいただければその中身はお分かりいただけるだろう。

この二つの記事の中で登場する米国の大学、マサチューセッツ工科大(MIT)、ハーバード大、スタンフォード大、プリンストン大、カリフォルニア大バークレー校、ペンシルバニア大、ミシガン大などと、日本の一流とされる東大、京大、慶応、早稲田などなどとどんな学問レベルの違いがあるか、ざっと考えてみられるといい。

そうしたことについて具体的に踏み込んで書いた記事など読んだこともないから、一言で比較しようもない。が、一つわかりやすい例として、そのレベルの違いを見るためには、ノーベル賞受賞者の数を比較すれば一目瞭然だろう。それについて、日米両国のトップテンの大学を選び、歴代ノーベル賞受賞者の数を比較してみるといい。そんな数について調べたものもは当然どこかにあるだろうか、今此処で今示すことはできない。しかしそんな数字など比較して見るまでもない。まさに月とすっぽん、雲泥の差なのである。

もっとも、今言いたいのはそのことではない。そうした超優秀な米各大学がその授業の内容をインターネットで公開し、しかもそれを流すだけでなく、受講者からの質問に答えたり、報告、リポートの提出を求め、優秀なものには受講修了証を発行するということまで始めたということである。そうした終了証を集めれば大学卒業の資格が得られるという制度にまで発展するだろうことをこの二つのニュース記事は示唆している。それはまさにすごいことである。インターネットの本質、双方向メデイアの特質を活かす当然の動きなのである。

TPP参加交渉で「聖域」を認めるの認めないのと騒いでいるが、この例のようにネットワークが普及すれば、防ぐも防がないも、外部からの情報侵入を防ぐいかなる壁も事実上なくなってしまうのである。

意図したか、しないかは別にして、今までひたすらその閉鎖性を守ってきた日本の大学がこの世界的な学問、教育のオープン化の波に抗しきれないことなど明白なことではないか。朝日記事にあるように、それは「激震」どころの話ではないのである。

いや、実はこのこと別に「大学」のことに限らない。TPP参加交渉があろうとなかろうとグローバル化、ネット化の波が、我々社会のあらゆる分野、制度にわたって、「激震」「津波」であることをひしひしと感じる、感じざるをえない時代になりつつあるということだ。

tad

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