2013年3月21日木曜日

TPP交渉参加への圧倒的支持に思う


安倍晋三首相が下した環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加という決断。昨日の日経新聞電子版ではなんと読者の87.6%がれを「評価する」との回答でした。

ついでに最近の主要マスコミの世論調査をみるとその支持が一様に高い。朝日新聞71%、産経新聞64%、毎日新聞63%、読売新聞60%といった調子です。これに関連する安倍内閣支持率は、これまた一律、70%近いもので、それは自民党の先の選挙公約とは違うとか、それが次期参議院選挙に影響するとかいう声もどこかへ吹っ飛んでしまった感があります。

肝心の自民党内でもTPP推進派が反対派を押さえ込み、国会審議でも、維新、みんなの党などがTPP交渉参加支持だから、もはや安倍政権この問題に関しては最早自信満々です。

わずか民主党や、生活の党、共産党などが交渉参加に、さまざまな懸念と共に異論を唱えて論戦を挑んでみてもたいした声とならない。世論調査の圧倒的支持の前に手をこまねいているしかないという状況のようです。これで本当にいいのか。

こんな状況下、これはいつもの天邪鬼の私なら、こんな現象、日本の国民有権者の付和雷同的思考の現れ、マスコミの世論誘導の現れだと切り捨ててしまうところですが、今回は少し違う視点で見るべきだと思っているのです。

今朝はこのことについて私見をまとめておこうと思います。

この世論調査における圧倒的支持の声を付和雷同的と書きましたが、まずはそのことについて。私が意外に思ったのは、交渉参加に支持を表明しながらも、当然のことながら同時にそれぞれそれについては同時に大きな懸念も持っていることには変わりがないということです。

朝日新聞の調査などその典型的なものでした。そもそも日本の交渉における言い分を通すことは極めて難しい、例えば、コメの聖域論など持ち出しても、それがその通り通ることはないだろうと見ていることです。そこまで考えながら、どうしてそれでも交渉参加を支持するのかということです。

それでは日本の食の安全は守れないではないかということになりますが、さすがにそれでもいいなどと、誰も考えているわけでないことは各種世論調査でも分かることです。食の安全はなんとか確保しなければならない。しかしそのことにために、それが認められなければ全面撤退だとか、超高額の関税を今まで通り認めさせることだけが、能ではないと考えているようで、そうした考え立場、スタンス自体は私自身も同じです。

ああでもないこうでもないと反対論をやっているが、とにかく交渉はこれからだ、いい悪いは、その中身を逐一見ながら判断するしかない。その交渉は政府がやること、明らかに国益に反するような交渉をすることはないと信じるしかない。今はまずは、それを見守るしかないということでしょう。

安倍政権、農業、コメを守ることは明言していますが、ただそれで700%だとかの異常に高い関税率を維持するだけのことを言っているのではない。そんなことに、理がないことなど誰の目にも明らかです。守るとはもっと積極的な意味、日本の脆弱な農業をそのままにするのでなく、それを構造的に強いものに生まれ変えさせる必要性があること、そのためのさまざまな施策を実施することを主張していることを評価しているのでしょう。今までだってそのことは散々議論してきたが、結局はできていないことも、承知しながらのことでしょう。私もそのことを支持したい。

これは単なる私の予想、予測に過ぎませんが実際の参加交渉において、日本は日本の農業再生強化のための時間をくれと主張するのでないかということです。それが5年か10年かわかりませんが、その間に、日本は食の安全を確保するために、コメを含めた農業の再生、再構築をするので、関税撤廃までの時間を与えてくれというのではないかということです。

このための日本の農業のいわゆる第6次産業化、農業生産力の強化という考え方、それを待ったなしに推進するためにも、TPP交渉参加が必要だという安倍内閣の主張を、世論は正しいと支持したのだろうし。ことそのことについは私も支持したいのです。

TPP交渉参加について問題の最大の焦点が農業問題であることは明白ですが、世論の大勢がこれを支持したもう一つの理由、背景は、我々の住む経済社会のグローバル化、オープン化、もの、サービス貿易の自由化の流れは避けて通れないことだという認識があるということでしょう。何かといえばそれがアメリカの言いなりになることだとか、アメリカ流の市場経済主義のもとに支配されてしまうのだという反対論が出てきます。

しかし、そのことはむしろ日本が世界の経済社会の中で生き残っていくためにむしろ必要なことではないかという認識が広まりつつあるのだろうということです。

日本にははまだまだ鎖国的なもの考え方、伝統、文化が残っている。日本の経済制度、社会制度の中には、まだまだ閉鎖的、規制的、特権的部分、制度が残っていることは明らかではないでしょうか。

TPPへの参加でそうした閉ざされた部分、社会制度、経済制度がより開かれたものになることで日本の経済社会、社会全体がより活性化することがなにより必要なのです。このことは日本の少子高齢化のなによりの対策になるだろうということです。

いつもBLOGで書く事ですが、日本の若者もっと学ぶこと、働くことについて世界に目を向けるべきです。それと同時に教育、産業あらゆる分野で、世界から優秀な人材をもっと自由に柔軟に受け入れるべきなのです。TPPへの参加が、この国のグローバル化を進める大きな推進力になることは間違いないことです。

TPPへの参加の経済的プラス・マイナスの計算はいろいろあるでしょう。もちろんマイナス面での影響も大きい。しかしそのプラス面の影響は計り知れないものがあります。そのトータルの計算がどうなるか、必ずしも確信があるわけでないが、トータルではプラスが大きく残るという計算があるのです。

200年の鎖国の時代を経て、幕末、開国の決断があったからこそ、明治維新を経て今日の日本があることなど歴史的解説を聞くまでもないようです。

このTPPには日本が参加して初めて、アメリカが狙っている長い目で見た成果をあげることができることくらいアメリカは分かっているはずです。

日本はその短期的な国益を守るための主張は当然すればいい。アメリカは、そうした主張要求は当然聞いてくれるはずだし、それを聞いてくれないようでは、互の長期的なまさに戦略的な互恵関係など到底できないでしょう。それは他の参加国とて全く同じでことではないか。

あらゆる参加国の長期的な利害は一致しているはずです。互にあまりにも短期的なことのみにこだわりすぎる。長期的目的は、一定の競争のルールを守りながら、より自由な貿易、あらゆる分野の自由な交流を深め推進していく経済圏を作ることなのです。互に得意な部分を発揮しながら、弱い部分は受け入れていけばいいという至極当然な互恵関係なのです。

それことが互の経済発展の道であり、なによりも近隣諸国が平和に安全に暮らしていく最善の道であることなどいうまでもないことです。

それがTPP(トランス・パシフィック・パートナーシップ)、パートナーシップの本来の理念のはずです。その理念実現のために、日本が今その交渉に参加することについて。私自身もその7割の支持世論に加わっておきたいと思います。

tad

関係記事:

環太平洋戦略的経済連携協定:wikipedia 
TPP交渉参加、87%が「評価:nikkei  
朝日新聞調査:asahi 

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