2013年5月13日月曜日

エネルギーの未来、大統領に提言せよ:バークレー白熱教室


このNHKEテレの白熱教室シリーズが初めてみたのは、2年位前のハーバード大学のマイケル・サンダースの「正義」に関する講義だった。いわゆる講義というものの、米大学の教授は一方的に講義するのでなく、むしろそれぞれの主題について、教授が100人、200人の大教室であっても、学生相手に質問を投げかけ、学生がそれに答える形式が基本的な流れなのだ。教授、講師は、学生の質問、コメントに補足的なコメント付け加えたり、さらなる質問を付け加えたりしながら、本題テーマをまとめあげていくということである。

いや、その内容、方法見聞いていて、実に興味深い。その中身、仮にその半分、三分の一しか分からなくてもじっくり聞くに値する。サンダース教授の講義の様子を見ていると、私たちが大学生だった頃。教室で聞いた講義の様子とは全く違う。

その頃の日本の大学の講義、教室となると、教授がうやうやしく持参したノートを読み上げ、学生は必死でそれををノートに書き写すというのが基本パターンだった。講義内容について教授・講師側から学生に質問を促すことなど殆どなかったし、仮にあったとしても、学生たちが質問することなどめったになかった。私自身学生4年間の間、その質問なるものを発することがあったか、なかったか、いやその記憶がないのである。

大学なんてそんなものだと思っていたし、日本の大学のそれはまさにそうなのであった。最近の日本の大学の教室も多少はその点では米国の大学のようになったのかなっていないのかよく分からない。基本的にはその点ではあまり変わりないのだろうという推測しているのだ。

実は私自身その二つの大きな違いの実体験者なのである。日本の大学学部を卒業し、一度就職してから数年後、今度は米国の大学ビジネススクール大学院で学んだ経験があるのだ。学部と大学院という違いはあるかもしれないが、とにかくその教室の雰囲気、あり方は基本的には同じ、あまりの違いの大きさに戸惑ったものだ。

その日米大学の違いどんな学部、講義、科目であろうと関係ない。米国の場合、教授が教室にやってきたら、教室は始まるが、それが教授、助教授、講師、なんであれ、彼らからの一方的な講義などほぼ皆無である。殆どがあのサンダース教室のパターン、質疑応答が基本である。もちろん教授はその時点、時点で問題点の整理をしたり、最後にまとめ的コメントをしたりするが、あくまで学生の授業への全員参加が基本なのだ。

学生側にとってはその瞬間々々が勝負で、その講義過程をパスできるかどうかは最終筆記試験だけでなく、むしろ常日頃の質疑応答における参加程度の中身による。もちろんその質問、コメントの中身も問われようが、要するにまず講義に参加しているかどうかが最大の焦点なのである。番組をご覧になった方はお分かりになるだろうが、昼寝をしたり、こそこそ雑談したりすることなど百%ないのだ。

ここまでは前置き、最近パソコンクラブのMTさんら数人の友人とランチを共にした時、MTさんから、このNHKEテレの番組のことについて、質問が出た。4月から始まったバークレー白熱教室という世界のエネルギー問題をとりあげた教室のことであった。

MTさん、5月3日放送分のものについて「難しい問題だが、聞いていてわかりやすかったし、興味深かったですね。先生もすごいが、学生がすごい。あの大学たしか、あなたも学ばれたことがあると聞いた、サンフランシスコ対岸のバークレー校のことですよね。大変勉強になりました。あの番組ご覧になりましたか。」と聞かれたわけだ。

私、このNHKのシリーズ番組のことは知っていたし、時折見たこともあるが、直近のその番組のことは全く見ていなかったのである。ああそうか、とその数日後そのことを思い出し、放送済のものをオンデマンド、単品210円を支払って見たのだった。いやたしかにその内容大変よかった。

以前にも書いたかどうか記憶にはないが、このの番組m世界の一流大学での一番人気のある講義を、ただで視聴できるのだからこんなすばらしいことはない。その場にいるだけでも大変なおカネが掛るところ、それを無料で好きなようにみれるのだ。見落としたものを210円で見れればそれは超お得というしかないんだ。

オンデマンドなどでなく、それを毎回録画しておけばいいのである。今回はついついそれを見落としてしまったのだが、改めて今後のものはすべて録画しておこうと思い直した次第だ。みなさまにも是非にとおすすめする。これまでのシリーズ、これからのシリーズさまざまな人類社会の基本的問題について、シリーズ集がある。

そもそもこの番組で取り上げる基準がなんでなるかだ。米の場合大学でどんな講座が評価されるか、それも学生の投票で決まったりするところがおもしろい。閉鎖的な日本の大学では考えられないことである。

このバークレー校での 教授の講義を見ていて、教授の話のリードの素晴らしさはもちろんのことだが、学生たちの質問、コメントのレベルの高さには驚かされるはずだ。いや、まさに当意即妙である。いや、それは常日頃の学生達の問題についての勉強の成果であるには違いないが、実はそれだけではない。

米国の大学の場合、講座のスタートに当たって、先生は参加、登録の学生たちに、その講座中読んでおくべき本、調べておくべき資料などについて、リーディング・アサインメント(宿題)を課すのだ。そうした本は大学の総合図書館、各学部の図書館にあり、学生達は競って講義前にそれを読んでおかなければならない。事前の資料チェックも必要なのだ。

かってはそうしたリーディングアサインメントは書籍本、印刷物資料に限られていた。が今の時代、おそらくあらゆるネット上の電子書籍、資料がその対象になっているのだろう。さらに講義についての質疑応答、論文報告書の提出などもネットをフルに活用したものになっているに違いない。

だからこそ、そうした質疑応答がスムースに、そしてそのレベルの高さを維持できているのだ。

米国の大学生、留学生が日本の大学生と比べものにならないほど勉強するのはそのためなのである。5月3日のバークレー校での講義のみならず、その他大学での講義の内容中身その運営がほぼ共通してレベルが高いのはそうした背景があることを蛇足ながら付け加えておきたいのである。

tad

関係資料:

NHK(Eテレ)白熱教室シリーズ:nhk 
白熱教室シリーズ: nhk
バークレー白熱教室:nhk 
バークレー白熱教室講義一覧:nhk
大統領をめざす君のためのサイエンス:nhk
NHKオンデマンド:nhk 

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