2013年5月3日金曜日

懐かしの音楽:クレメンティのソナチネ(その22)



この音楽シリーズも始めて以来、22番目のものになるが、「懐かしの」というタイトルにこだわると何かその選択範囲が狭くなってしまう。そういうニューアンスでは当然映画音楽などが主となり、これまでもそうなってきた。が、こと音楽となると、60歳になってから始めたピアノの練習曲、その関連で一年に一度位ある発表会などで演奏したものの曲の思い出となると話は俄然なんだか生々しくなってくるのである。

「大人のピアノ」の場合その発表会というのはある種の鬼門で、私を含めて多くのピアノ練習生にとっては苦い思い出がつながることが多い。というのも、子どもと違って大人になってピアノの始めたレッスン生が、演奏会となると大抵いつもの実力の7割も出せたら上出来という状況になるからだ。子どもの場合、平生の練習の最悪でも90%位の出来が出せるのに、大人はそうはいかないのだ。まあ70%位行ければ上等というところか。それもこれも、大人は子どもより、失敗を極度の恐れるからそういう結果になりがちなのだ。

大人の場合、演奏を始めたのはいいが、どこか一箇所で間違えたり、詰まったりすると、それがきっかけで頭が真っ白になってしまい、にっちもさっちもいかなくなる。立ち往生である。中にはそれでしかたなく演奏中止、頭を下げて舞台から去らなければならなくなってしまう。それはそれで仕方ないと割りきってしまえばいいのだが、それがきっかけでピアノを習うこと自体を止めたり、二度と演奏会に出ないことにする人が結構多いのである。

大人のピアノの発表会など誰もすばらしい演奏を聴きにくるわけでない。まあシルバー世代の大人が、ようそんなことで頑張っているではないか、感心々々という程度のことで済ましておけばいいのだ。私自身はそのように考え、それで性懲りもなく今でも発表会があると、一度は断るものの、先生に勧められると少々の無理をしてもそれに挑戦することが多い現状なのだ。

話は違う方に行ってしまったが、今朝の話題のクレメンティのソナチネ(Op.36.No3)はそうした思い出の曲の一つである。2年ほど前の大人のピアノ発表会で、その全楽章を弾いたことがある。当然上がってしまった。それでもレッスン場での70%程度の出来であったと思ったが、先生は、よかったよかったとお世辞を言ってくれたものだった。だからこの曲にはそう悪い思い出はない。そういう曲の一つなのである。中にはクラシック曲とは限らないが、POP曲などでもう二度と弾きたくないというものもある。

寄り道してしまったが、そういう経緯もあって、それで今朝はこの曲を取り上げた次第。そんな他人の思い出なくどうでもよく、皆様にはピアノ曲の名曲の一つとしてYouTubeの演奏のいくつかを聴いていただければと思うのである。いや、当時はまだYouTubeの有効活用にも慣れていなかった。私自身その発表会の前にこうした模範演奏曲のようなものをもっと参考にすればよかったかと思うのである。

クレメンティどちらかと言うとと、ピアノ曲としては、初心者、せいぜい中級者向けの曲ではあろうが、改めて聴いてみると本当にいい曲だと思うのだ。いや、実は私はピアノを始めるまではクレメンティという名すら知らなかったのだ。それでもソナチネのいくつかを練習するようになって、その多分、ニ番目か三番目に、先生がこれを弾いてみたらと推めてくれたものだった。

ソネチネ、ソナタといえばモーツアルト、ベートベンの名しか知らなかった。クレメンティには百曲以上のソナチネ、ソナタがあるそうで、この他にもいいものが沢山あるようだ。それを一つづつ聴いてみて、いいものにはまた挑戦してみたいと思っているところなのである。

tad

関係資料:

クレメンティ - ハ長調ソナチネ作品36第3番:YouTube
ムツィオ・クレメンティ:C、オペアンプでソナチネ:YouTube
クレメンティ:C長調Opソナチネ。36/コーリー・ホール:You Tube 指使いなどが全面見れて参考になる
クレメンティのソナチネ36、スロー3号スピリトーゾのチュートリ:YouTube  初めてこの曲を弾く人の練習用にいい
Clementi Sonatina Op. 36 No. 3 Piano Concerto:YouTube  室内楽との協奏がいい
ムツィオ・クレメンティ:wikipedia
ロンドン楽壇の大御所:モーツアルトとクレメンティ:YouTube 


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