2013年5月25日土曜日

マイナンバー法成立の意味:PC465


「国民一人一人に番号を割り振って所得や納税実績、社会保障に関する個人情報を1つの番号で管理する共通番号「マイナンバー」制度の関連法が、24日の参院本会議で可決、成立した。平成28年1月から番号の利用がスタートする。

27年秋ごろに市区町村が国民全員にマイナンバーが記載された「通知カード」を郵送。希望者には氏名、住所、顔写真などを記載したICチップ入りの「個人番号カード」が配られる。

行政機関は現在、国民の個人情報をばらばらに管理しているが、マイナンバーで年金、医療、介護、税務などの情報を結びつける。この結果、行政コストが削減できるほか、個人の所得状況や社会保障の受給実態を正確に把握しやすくなり、公平で効率的な社会保障給付につながる。「税逃れ」の防止にも役立つ。

利用者にとっても、年金などの社会保障給付の手続きや税金の確定申告で、住民票や納税証明書といった添付書類が不要になり、手続きが大幅に簡素化される見通しだ。

ただ、自営業者が経費を過大請求して税金を過少申告するケースは従来の税務調査でしか分からないなど限界もある。個人情報漏洩(ろうえい)や番号の不正取得による悪用への懸念も消えない。

政府は情報の取り扱いを監視する第三者委員会を設置。漏洩に関わった職員に4年以下の懲役、または200万円以下の罰金を科す。法施行から3年後をめどに利用範囲の拡大も検討する。」産経新聞 5月24日

懸案のマイナンバー法が衆参両院で可決成立した。私は過去何度かこの法律の早期成立の必要性を主張してきた。最近では2月4日のBLOGで「マイナンバー法案は最優先課題だ」と題して書いている。それがやっと衆参両院、参院では民主党など野党の賛成を得て可決成立したことは、我が意を得た感じである。他のこととは違う。これは情報化する社会、世界で国家として生き残っていくための基本的社会インフラ整備の一環として必要なことなのだ。

法案成立に関し、名古屋の河村市長は、「マイナンバー法は時代錯誤」と批判しているが、その意味よく分からない。

この法案がなんのために必要かについては、冒頭産経新聞の冒頭引用記事と、3月8日付けの「主張」に述べられているが、その論旨について異論はない。また読売新聞が5月25日社説http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130524-OYT1T01417.htmで「国民通番号法成立は公正な社会保障へ大きな一歩」という趣旨の論説を展開していることについても、評価しておきたい。

この法律が成立したことのメリット・デメリットにまとめたのが添付の図1だが、それは一連の産経新聞の記事の図をほぼそのまま引用させてもらったことをお断りしておく。

要するにこの法案ができたことによるメリットなど、誰も否定しようがないことばかりだ。これが結果的にこれまで多発してきた社会保障サービス年金、医療など提供に関する膨大な不正確な事務手続き、行政コストの無駄をなくすこと、納税に関わる不正な手続き、脱税を防ぐなどのために必要な手段であることは明白である。この法案の成立で、トータルの行政コストが大幅に削減、合理化されることも明白ではないか。

この法案に反対する立場は要するに図1のデメリットにあげた点に集約されよう。要するに、これで個人情報が冒されたり、それが不正、不当に使用される危険性が増えることだ。この制度を悪用する行政、流失した個人情報を不当な営利目的に使う民間レベルの輩が数多く出てくる可能性があることだ。その懸念はもちろんある。

しかし、それをデメリットとして挙げること自体おかしな話ではないか。そうした行為を起こすこと自体は犯罪なのだ。この法律もそれを防ぐために罰則を設けているのもそのためである。ただこの法案を効果あらしめることが何より大切なのだ。またそれは情報化社会の基本的インフラを整備するために必要なものなのだ。そのためにはそうした違法行為は絶対に防止が必要なのである。そのためには、その罰則、今後の法改正の中でさらなる強化する必要性が生まれてくるだろう。2倍、3倍の罰則強化が必要なのかもしれないし、そういう方向で進むべきだろう。

再度言うが、そもそも犯罪行為が出てくることを想定して、だからそれがデメリットだなどいう発想自体おかしいのだ。脱税、不正申告、個人情報の悪用などという不正行為、犯罪に対して、どうもこの国の法律は甘すぎるのではないか。

社会全体の情報化、IT化のために多大のIT投資が必要であることは当然のことだ。しかしこれこそ
道路だ、鉄道だなどという従来型、コンクリート中心の公共投資に代わる、社会の情報化そのインフラ整備という成長分野における公共投資ではないか。それは成長戦略の最重要分野の一つとして位置づけられてしかるべきものだ。そうした分野への投資がデメリットと捉えること自体、本末転倒的発想ではないか。

マイナンバー法の成立で国民一人一人が、社会の情報化インフラ整備という大きな波により直接的に直面せざるをえないことになってくる。具体的にはパソコンや、スマホと言ったIT機器を自ら操作する機会も増えるだろう。増えざるをえないのだ。そのことは大変なことだが、いずれにせよ、一度は通り抜けなければならない道なのだ。

今の40代、30代さらに若い若者世代についてはなんの懸念もない。問題はそれ以上の熟年世代だが、彼らには、時間があり、場合によっては若者世代以上にパソコンを買ったり、スマホを使ってみたり、それについて学ぶ時間的余裕、金銭的余裕もあるのではないか。

この法案成立で、これからの来るべき情報化社会とは何か、その中でパソコン、タブレット端末、スマホなるものは一体なんのために使うのか、それを使って何をどう楽しんだらいいのか、など改めて考えるきっかけともなるのではないかと私は期待している。

このトピックスをPC関連の話題の一つとした狙いもそこにある。

tad

関係記事:

マイナンバー法成立、平成28年1月から利用開始:sankei 
マイナンバーメリット・デメリット:sankei
マイナンバー 使いやすい制度に工夫を[主張]:sankei
共通番号法成立 公正な社会保障へ大きな一歩「社説」:yomiuri 
【マイナンバー】個人情報流出の懸念・保護制度の確立急務:sankei 
【マイナンバー】特需1兆円超? IT企業 はや争奪戦 :sankei 

0 件のコメント: